12月2日から4日まで、女子プロ16名が参戦した「富士カントリークラブ レディスマッチプレー」が静岡県御殿場インター近くの、富士カントリークラブで開催されました。プロデューサーの下村まゆみさん始め、運営も少人数のコンパクトな大会です。賞金総額515万円、優勝賞金200万円。もちろん無観客。私は大会記録の任で参加してます。
12月2日早朝、検査で陰性を確認した16名の選手。この日はプロアマ戦です。このプロアマ戦は、1回戦の対戦相手を決めるためのマッチプレースポット決定ラウンドも兼ねていて、成績順に上位者と下位者が組み合わされて対戦相手が決まります。
<アウトスタートの組み合わせ>
東浩子VS 下川めぐみ
ささきしょうこVS工藤遥加
藤本麻子VS久保宣子
沖せいらVS木戸愛
<インスタート の組み合わせ〉
金澤志奈VS山本薫里
久保啓子VS熊谷かほ
川満陽香理VS若林舞衣子
天沼知恵子VS宅島美香
12月3日は上記の組み合わせで1回戦9ホールを対戦したのち、すぐに2回戦3回戦へ進みます。2回戦3回戦も同様に9ホールで、この日に3マッチ戦って決勝戦と3位決定戦の組み合わせまで決めて行きます。9ホールの戦いなので、スタートダッシュが肝心と容易に想像できます。前の週にLPGAツアー選手権リコーカップに出場した若林舞衣子と金澤志奈の2人は、当然本命ですよね。
ところが、1回戦が終わってみると金澤志奈と若林舞衣子がともに敗退です。佐伯三貴さん門下の沖せいらと木戸愛のマッチでは木戸の勝ち。予選1位の東浩子が予選最下位の下川めぐみに負けました。予想がハズレまくりです。
2回戦を終え、残った選手は4人。そして3回戦。すなわち準決勝になるので2つのマッチ。予選最下位で勝ち上がって来た下川めぐみVS予選4位の藤本麻子。もう1組は予選15位の山本薫里VS予選11位の宅島美香です。
私は藤本VS下川戦をホールごとに無線で報告しつつ帯同しました。一進一退の展開で、イーブンで最終9番ホールまで来ました。ティショットを左のファーストカットに運んだ下川に対し て、気持ちよく振り抜いたかのように見えた藤本のティショットは、右傾斜上部の植え込み辺りに捕まって、セカンドショットは出すだけ。2オンの下川対3オンの藤本。パーパットを外し た藤本に対してピン左からスライスラインを沈めて、下川が1アップで勝利。もう一つの対戦も9番までもつれて宅島が1アップで勝利しました。
12月4日決勝ラウンドは18ホールの戦いです。敗者のプロたちとのプロアマがアウト・イン共に6組スタートして行き、その後を決勝戦はアウトから、3位決定戦はインからスターして行きま す。 1番ティショット。コイントスでオナーとなった下川はいきなり右OBゾーンへボールが消えて行きました。宅島はフェアウェイ。下川は打ち直しをフェアウェイに運び、このホールいわゆるOB バーディのボギーに対して宅島パーで宅島1アップ。昨日までの安定したショットが影を潜めた下川に暗雲かな。
4番まで分け続けて、5番ホールパー4を下川が取り、ここでマッチはイーブンに戻りました。 ここまで、宅島は昨日まで好調だったパットが鳴りを潜めていますし、下川もティショッが右へ右へと球のつかまりが悪そう。
試合が大きく動き出したのは8番パー5からでした。急にティショットが安定し出した下川に対して宅島のパターの調子が上がりません。8、9、10、11番と連続して下川が取って4アップ。アップドーミーホールの14番も取って、5アンド4で下川めぐみが優勝です。敗れた宅島美香の目から涙、カートで帯同していた下村まゆみプロデューサーの目からも涙。 予選順位最下位16位からの、いわば逆転優勝でした。
競技ゴルフの原点とも言われるマッチプレー は、ピンチはチャンスだったり好事魔多しだったり。それを体現する競技方法でもあるなぁと改めて感じる戦いでした。「どんだけ(1ホールで)打っても1ダウンだし」と開き直れた下川めぐみプロの勝利でした。
※内容を一部修正しました2020年12月7日17時43分