最終日の平均ストローク2位
今シーズンの原選手は開幕戦の「アース・モンダミンカップ」を首位と2打差の5位タイで終えますが次戦の「NEC軽井沢トーナメント」、「ニトリレディス」と2戦連続で予選落ちします。オフの間に積んだ最終日まで戦い抜ける体力をつけるためのトレーニングによって体のキレが増し、本来はドローの持ち球がフェードになって苦しんだと「日本女子オープン」優勝後の会見で話しました。
その後持ち前のドローボールが復活し小祝さくら選手との激闘の末「日本女子オープン」を制しました。パッティングのストロークを見直したこと、アイアンをやさしく距離の出るモデルに変えたことなど様々な改善がつながった勝利となりました。
その後、最終戦の「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」で初日から首位を譲らない完全優勝を果たしたところを見ても、初優勝を挙げた昨年からさらに一皮むけ強い選手になった印象づけました。ショット、アプローチ、パットすべてに弱いところがなく、そこに勝負強さまで手にしたという印象。
スタッツを見てみると決勝ラウンドの平均スコア、最終ラウンドの平均スコアともに2位と勝負強いゴルフを身につけたことが確認できます。飛距離をアドバンテージに攻めるゴルフを信条とするスウィングを見てみましょう。
まずアドレスを見ると、手足が長い173センチの長身を生かした大きな構えです。ボールの位置はやや左。頭の位置はクラブヘッドよりもやや右にあり、始動で右サイドに重心を移動することから右に軸を取るタイプのスウィングだということが見て取れます。
トップでは右ひざの上にくるくらい頭の位置が移動しますが(画像B左)、切り返し以降はその位置にキープされていて、左への移動も最小限です。右に軸を取りながらその軸をキープしてスウィングしていることが見て取れます(画像B右)。フェースの向きはトップで空を向くシャットフェース気味。早い段階でクラブを閉じて、そのままインパクトに向けて下ろしてきています。
インパクトでも頭の位置は左に突っ込むことなくビハインド・ザ・ボールを守っています(画像C左)。そして大きくて長い伸びやかなフォローへと振り抜いています。頭の位置が低くなるくらい前傾角もしっかりキープされていてほれぼれする大きなフォローです(画像C右)。インパクトで右手を押し込んだあとフォローではしっかりと右手が左手の上になっていますが、この右手の使い方のヒントをニトリレディスの写真から見つけましたので紹介します。
ニトリレディスではゴルフ専門メディアはコロナの影響により入場制限があり各社のカメラマンではなく代表撮影で写真を共有していました。そのときに原選手がボールを投げるポーズをしていました。右手の使い方を見てみるとボールを投げた後手のひらが外側を向くように右腕が内側にねじられていることが見て取れます(画像D)。グリップの握り方にもよりますが、この右手の使い方がしっかりとボールをつかまえ、インパクトゾーンの長い伸びやかなフォローにつながる使い方になっています。
全米女子オープンはテキサス州のチャンピオンズGCのサイプレスクリークコースとジャックラビットコースを使って予選ラウンドが行われます。シビアなピン位置が予想されますが、難しいセッティングでもスコアを作ってくるのが欧米ツアーの選手たちです。日本を代表する選手に成長した原英莉花選手がどんなプレーを見せてくれるのか非常に楽しみな週末になりそうです。