パトリック・リードのアメリカ人初ヨーロッパ年間王者がかかった欧州ツアーシーズン最終戦DPワールドツアー選手権。2位に入ったリー・ウェストウッドがキャリア3度目のヨーロッパ年間王者に輝いた。47歳になってなお輝きを放つベテランの強さの秘密とは?

思いもよらない展開だった。トップタイで出たリードがスコアを伸ばせず優勝したのはイングラ
ンドのマシュー・フィッツパトリック。勢いのある若手に1打差まで迫り堂々の2位に入ったのがウェストウッドだった。彼がはじめて年間王者に輝いたのは22年前、25歳のこと。当時の絶対王者コリン・モンゴメリーを凌駕しての戴冠だった。

あれから20年以上。すっかりヒゲも白くなったウェストウッドは「いやぁ、今年はいろいろな意味でおかしなシーズンだった。そのなかで安定したプレーが続けられたのはうれしいね」と満面の笑み。

47歳まで第一線で活躍し続けるわけを聞かれると「日頃のトレーニングの賜物。年取ってくると年々柔軟性がなくなってしまう。それを補うためにトレーナーがめちゃめちゃきついストレッチを要
求してくる。毎日拷問されてるようなものだよ(笑)」

画像: 3度目のヨーロッパ年間王者に輝いたリー・ウエストウッド(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

3度目のヨーロッパ年間王者に輝いたリー・ウエストウッド(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

44歳のタイガー・ウッズも11歳の息子チャーリー君の「柔軟性がうらやましい。彼みたいにクラブを振りたい」と語っていたが、体が硬くなって思うようにクラブを振れなくなるのは40代「あるある」。

デビュー間もない20代前半、三井住友VISA太平洋マスターズで3連勝を飾ったウェストウッドは変則スウィングでいとも簡単に並み居る強豪を倒したもの。賞金の使い道を尋ねると「これから何があるかわからないからベッドの下に隠している」と茶目っ気たっぷりに語っていた。

あれから四半世紀、ゴルフ界の中心でさまざまな勲章を手に入れながらどうしても獲れなかったのがメジャータイトル。何度も優勝争いに絡み2位の回数も多いがチャンピオンには手が届かずにいる。

朋友ダレン・クラークは「引退を考えていた」42歳のときに全英オープンに優勝。メジャーチャンピオンとしてライダーカップのキャプテンを務めるなど、その後もゴルフ界で確固たる地位を築いている。

メジャー無冠の最強のプレーヤーは誰? という議論が毎年のように行われるが、ウェストウッドは間違いなくその筆頭格。ヨーロッパでの活躍を見るとメジャー初戴冠がいつきてもおかしくなさそうだ。

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