現在開催中の海外メジャー「全米女子オープン」3日目終了時点で単独首位に立つ渋野日向子。メジャー2勝の偉業に向かう渋野のドライバースウィングを、プロゴルファー・中村修が解説。

安定したスウィングテンポでフェアウェイキープ率76.2%

海外メジャー「全米女子オープン」3日目終了時点で単独首位に立っている渋野日向子選手。今大会ではドライバーの調子も良く、スタッツを見ると3日間で42分の32、約76.2%と高いフェアウェイキープ率を叩き出しています。

画像: 全米女子オープン3日目終了時点で単独首位に立つ渋野日向子(USGA/Simon Bruty)

全米女子オープン3日目終了時点で単独首位に立つ渋野日向子(USGA/Simon Bruty)

安定したティショットを生み出せている一番の要因はスウィングのテンポにあると思います。渋野選手はスウィングの一連の動作を「チャー・シュー・メン」のスウィングテンポを意識しながら行っているそうですが、今大会では3日間を通してとにかくそのテンポが一定なんです。

この良いスウィングテンポで振ることができているからこそ、どこか一部分で力が入り過ぎたりフィニッシュが崩れたり、といったことがなく安定したスウィングができているわけです。

加えて、渋野選手のスウィング自体にもコンパクトで安定感のある要素がたくさんあります。まずはアドレスからじっくり見てみましょう。

まず画像A左のアドレス時の手元を見ると、左手の拳が3つほど見えるくらいのストロンググリップ。スウィングの軸はセンターに置き、スウィング中の左右への重心移動はあまり行わないタイプ。始動のきっかけで少し右に移動しますが、右股関節内側の位置はズレていません。

画像: 画像A:スウィング軸を体のセンターに置いたアドレス(左)からテークバック。左腕が地面と平行になる時点で手首のコックは完了し、背中もターゲット方向に向いている(右)(写真は2020年の樋口久子 三菱電機レディス 撮影/姉崎正  )

画像A:スウィング軸を体のセンターに置いたアドレス(左)からテークバック。左腕が地面と平行になる時点で手首のコックは完了し、背中もターゲット方向に向いている(右)(写真は2020年の樋口久子 三菱電機レディス 撮影/姉崎正 )

両腕がくっついているように見えるのは渋野選手の特徴ですが、この両腕の間隔はテークバックの最中も一定のまま。それによって手だけ、あるいはヘッドだけが動く、といったことがなく常に体とクラブが一体となってスウィングすることができています。

ここからクラブを上げていくのですが、注目してほしいのは画像A右の左腕。シャフトと左腕が作る角度は地面と平行になるくらいの段階でほぼ直角です。早めに左手親指方向へコックしていますね。また、バックスウィングの早い段階から背中がターゲット方向に向いているので、後述するコンパクトなトップでも体の捻転は十分です。

画像B左のトップ位置でもバックスウィングで作った手首の角度を保っているので、シャフトが地面と平行にならないくらいに収まっています。この段階でフェース面が空を向き、左手甲と腕が一直線になっていて、ボールをつかまえる状態が作れていますね。

画像: 画像B:バックスウィングで作った手首の角度をトップ位置(左)、切り返しからダウンスウィング(右)でもキープしている(写真は2020年の樋口久子 三菱電機レディス 撮影/姉崎正  )

画像B:バックスウィングで作った手首の角度をトップ位置(左)、切り返しからダウンスウィング(右)でもキープしている(写真は2020年の樋口久子 三菱電機レディス 撮影/姉崎正 )

手首の角度をキープすることでクラブに余計な“遊び”が生まれず、体の動きに対してスムーズにクラブが付いてくるので安定感も生まれますし、ボールをつかまえる状態が作れているのでインパクトゾーンでのフェースローテーションの度合いも少なくて済みます。実際に切り返しからダウンスウィング(画像B右)でも深くなり過ぎたり、ほどけて浅くなったりせずに角度をキープした状態でスウィングしていることがわかりますね。

トップまではコンパクトなスウィングでしたが、フォローにかけて体の回転を使って大きく振り抜いていくのも渋野選手のスウィングの特徴的な点です。インパクト(画像C左)ではややアッパー軌道でボールを捉えていますが、ポイントは頭の位置。アドレス時よりもビハインド・ザ・ボールの形を取ることでクラブの最下点が右側にズレて、アッパー軌道が作れているんです。

画像: 画像C:ビハインド・ザ・ボールの状態でアッパーにインパクト(左)。フォローにかけて体の回転を使って大きく振り抜いていく(右)(写真は2020年の樋口久子 三菱電機レディス 撮影/姉崎正  )

画像C:ビハインド・ザ・ボールの状態でアッパーにインパクト(左)。フォローにかけて体の回転を使って大きく振り抜いていく(右)(写真は2020年の樋口久子 三菱電機レディス 撮影/姉崎正 )

インパクト後もティは刺さったまま(画像C右)であることも、安定してアッパー軌道で振れている証拠。球の行方をチラッと確認したらすぐにティを拾う、という場面は試合中も見られましたね。

飛距離自体は3日間平均242ヤードと米女子ツアーの飛ばし屋に遅れを取りますが、安定したフェアウェイキープによってセカンドショットにも余裕ができ、パーオン率も54分の40、約74%と高い数値を出しています。

最終日も引き続きこの調子をキープできれば、優勝もおのずと見えてくるはず。海外メジャー2勝目がかかった最終日、要注目です。

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