中村:2020年の男子ツアーを振り返りたいと思います。コロナ禍を受けて、わずか5試合というシーズンでした。
中井:苦しい状況のなか、希望の星はやっぱり金谷拓実くんですよね。あれだけの安定感はなかなかですよ。
中村:アマチュアとして出場した国内開幕戦のフジサンケイクラシックで5位タイ。日本オープンでプロ転向後は、7位、5位タイ、優勝、5位。見事な結果です。
中井:女子ツアーでいえば古江彩佳選手は「欠点がない選手」だと思いますが、金谷くんも同じなんですよ。欠点がまったくなくて、全部上手いんですよ。技術だけじゃなくてメンタルも強い。頭もいい。
中村:しかも打つのも早い。決めたら迷わずスパッと打つからリズムもいい。
中井:技術的には、金谷くんのスウィングには「点」がない、すなわちインパクトを意識せず、振ったところにボールがあるっていうイメージのスウィングをしています。こういうスウィングをする選手は調子が落ちにくいんです。
中村:女子の話になっちゃうけど、渋野日向子選手もそうですよね。
中井:渋野さん、古江さんもそう。昔と比べて今のクラブとボールはスピンがかかりすぎないから、インパクトの打点をそこまで意識する必要がないですよね。だから、すごく今のギアにマッチしたスウィングをしていると思います。
中村:同じくアマチュアの中島啓太くんもそうだし、プロテストに合格し、2021年からツアーに参戦してくる桂川有人選手なんかもそうですね。金谷くんのライバルとして戦った日大のエース・清水大成選手も今年からツアーに挑みます。彼らが22歳、23歳で、その上の20代にもう少しがんばってもらいたい。
中井:そうですね、そしてやっぱり石川遼くんでしょう。彼がツアーを引っ張ってほしいし、そうでなければいけない。石川、金谷が中心にいて、この2人に誰が挑んでくるかという展開になってほしいです。
中村:その「誰か」の候補はいますか?
中井:個人的には、内藤寛太郎に期待しています。もう38歳なんですけど、僕は彼の打つ球筋が素晴らしいと思っているんです。なんでこの球を打っていて勝てないの? と。それが、去年はフジサンケイで7位、日本オープンで3位タイ。昔は男子プロ35歳ピーク説ってあったじゃないですか? それでいえば、彼はいまピークにあるし、花を咲かせるなら今年こそ勝負だし、花を咲かせてもらいたいんです。
中村:昔から球も飛んでましたしね。
中井:AbemaTVツアーの解説をしていても、「この選手はレギュラーに行くな」っていうのはスウィング面からだけでもわかるものなんです。その意味では、内藤は別格なんですよ。あと、中西直人は押したい。彼は男子ツアーの将来を憂いている一人でもあるので。というわけで、石川遼くんは別格として、金谷くん、内藤、中西の活躍を期待します。
中村:僕は金谷くんの対抗馬としてプロになったばかりの桂川、清水の両選手を押したい。そして、亀代順哉選手ですね。渋野選手と同じ青木翔コーチの門下生。
中井:彼は楽しみですね~! ゴルフがダイナミックだし、魅力があります。
中村:その辺が引っかき回してくれると面白い。堀川未来夢選手、星野陸也選手といった、先にプロで結果を出している選手たちが、うかうかしているとヤバイぞ、って感じになってくると、男子ツアーも面白い展開になると思います。