今年欧米ゴルフ誌の見出しをもっとも多く飾ったプレーヤーは誰か? それはパワーゴルフの時代を一歩先に進ませたブライソン・デシャンボーで間違いない。マッドサイエンティストの話題を総まとめ。
デシャンボーの20年は欧州ツアーの予選落ちから始まった。その時点で着々と体を大きくする計画を実践していた彼はコロナによるツアー中断のあと再開した試合で別人のような姿で現れた。
まるで超人ハルクのように筋肉の鎧を身にまとった彼はツアーナンバーのロングヒッターに変身。シュライナーズホスピタルズ for チルドレンでは予選ラウンド2日連続で7番382ヤードのパー4でワンオンに成功。11月のマスターズ直前には「ついにキャリーで400ヤード超えを実現した」とSNSに投稿した。
この規格外の飛距離にはジャック・ニクラスらレジェンドが「ゴルフが違う競技になってしまう」と危惧。飛ばないボールが必要という論争に発展した。
ローリー・マキロイが「凄い」と目を見張ればジョン・ラームやフィル・ミケルソンといった飛ばしに自信がある選手たちにも「感銘を受けた」といわしめた。マスターズで彼のプレーを見た今平周吾は「デシャンボーを見ちゃうとタイガーは飛びませんね」と苦笑い。
飛ばしだけではなくゴルフも絶好調。自身のキャリアベストとなる7試合連続トップ10をマークし全米オープンを含むツアー2勝をマーク、世界ランクトップ5入りを果たした。
ゴルフ以外でも話題に事欠かなかった。欧州ツアーでスロープレーに警告を出されると「ヨーロッパツアーを愛している」とツイート。ブルックス・ケプカとお互いの筋肉を揶揄したり自慢し合ったり、帽子にスポーツくじの会社のロゴをつけたゴルフ界初のプレーヤーとなり、勝利に欠かせない飲み物が「チョコレートミルク」であることを明かしたり…。
体を大きくするために毎日6杯から7杯のプロテインシェイクを飲んでいるが、じつは「胃が弱い」と告白。「なぜなのか理由はわかんらい」。「130歳、140歳まで生きたい」というデシャンボーにジャスティン・トーマスが吹いたとか。詳細はわからないがアインシュタインと自分を比較しているらしい。
これらを踏まえワシントンポスト紙から「ゴルフでもっとも興味深い男」と紹介され、一流誌スポーツイラストレイテッドの表紙を飾った。
来たるべき21年デシャンボーは我々にどれだけの話題を提供してくれるのだろう?