中村:2020年のゴルフギアを振り返っていきましょう。中井プロはピンの契約プロですが、2020年はG 425シリーズが爆発的にヒットしましたね。実は僕もG425LSTを使っているんです。“クラブ契約フリー“ですけど(笑)。
中井:ピンの特徴は、あくまでもアマチュア用のクラブであることなんです。あくまでアマチュアが使うことが前提としてあり、その上で、プロも使えるようにって工夫していく。そこが他のメーカーとの哲学の違いだと思います。創業以来、そのコンセプトにブレがない。
中村:ピン、そしてテーラーメイドのSIMシリーズ、そしてキャロウェイのマーベリックシリーズ。これらが人気になりましたが、秋になってダンロップのスリクソンZXシリーズを松山英樹選手が使って大きな話題になりましたし、タイトリストのTSiシリーズもすごく評判がいい。
中井:2020年はドライバーの当たり年と言って良かったと僕は思いますね。ピンにしても、G425LSTは名器と呼ばれたG400LSTのブラッシュアップバージョンなんですよね。こういうふうに、名器が一拍置いてさらに進化することってよくあると思うんです。キャロウェイもエピックが出て、一拍置いてマーベリック。テーラーメイドもM2があって、一拍置いてSIM。
中村:なにしろ毎年ニューモデルをリリースしていますからね。年々進化しているのは間違いないけど。
中井:TSiシリーズにしても今回一気にドーンといいものが出てきた印象を受けています。ちなみに、G400とG425の間に出た、ピンのG410プラスは非常にいいクラブでしたけどね(笑)。
中村:契約プロらしい発言ですね(笑)。G410プラスは渋野日向子選手が使って全英を制したクラブだし、間違いないですね。あとはブリヂストンのツアーB X。これは女子プロたちがこぞって変えました。なかなか変えられない子たちも多く変えたのが印象的でしたね。それはスリクソンのZXにも言えるけど。
中井:スリクソンは本当にいいクラブになりましたよね。ZXは。
中村:松山英樹選手がついに変えたっていうのもそうだし、タイトリストのTSi2とTSi3、そしてブリヂストンと、プロたちがすぐに変えて実戦投入するクラブが多かった印象があります。
中井:スリクソンもブリヂストンも今回いいものを作ってきましたよね。日本人に合うもの作ってきたっていうところもあると思います。外ブラを意識しすぎるんじゃなくて。
中村:アイアンは日本製、ドライバーは外ブラを使う人って多いんですよ。やっぱりアイアンには日本の軟鉄鍛造神話を求めつつ、ドライバーには外ブラのカッコ良さを求める。そんななか、たとえば本間ゴルフのモノづくりっていいと思っているんですよね。プロギアやヤマハにもいえるんですが、しっかりとしたモノ作りをしていい製品を出しているところに、もうちょっとみんなの目を向けたいですね。
中井:ピン、テーラー、キャロウェイの10年前のクラブと今のクラブってほとんど顔つきが変わっていないんですよ。ポンって構えたときの顔つきが本当に変わっていない。テクノロジーは変わっても、ブランドコンセプトの変更ってそんなにないんです。ドライバーでいえばキャロウェイはつかまりやすいし、テーラーはフェードが打ちやすいし、ピンはストレート。タイトリストは操作性が高い。だから固定客がいるし、あと契約プロの成績が安定するんですよ。
中村:たしかに。
中井:そんななか、ブリヂストンは昔の「BS顔」っていうのにちょっとずつ戻ってきているし、スリクソンそう。だから期待したいです、本当に。
中村:あとは引き続き飛び系アイアンがブームですね。ヤマハのインプレスUD +2が代表選手で、ダンロップのゼクシオクロスも人気。
中井:行くところまで行った感がありますよね。ただ、これ以上はさすがにボールが上がらなくなってしまうので、今後はハイブリッド的な形状になっていったりするのかなと思います。
中村:7番までアイアンで、それより上はハイブリッド、ユーティリティのカタチになっていくと。
中井:ピンは7番までハイブリッドを作りましたけど、それがひとつの答えかなと思いますね。
中村:ダスティン・ジョンソンが7番ウッドを使う時代ですからね。2021年以降は、クラブセッティングにも大きなチェンジがあるかもしれませんね。