都心に近いとある住宅街を訪ねると屋外のスペースにネットが張られた練習場が見えてきた。「ご近所さんの迷惑にならないように日中にアプローチ練習程度で楽しんでいます」と話すのは佐久間拓也さん。
本格的な練習スペースに見えるが、すべてホームセンターで買えるもので作り上げたというから驚きだ。骨組みは園芸用の支柱で組みあげ、そこにネットを張り、トップしたりシャンクすることも想定してクッション材を置いて跳ね返り事故を防ぎつつ、防音対策も万全にしている。
ちなみに、クッション材の「PING」のロゴは自作で塗装したものだというこだわり具合。
「気をつけたのは、跳ね返ってボールが外に出ないようにすることと、ネットを二重、三重にすること。とにかく安全第一で作りました。材料のほとんどはホームセンターで購入し、人工芝のマットだけは通販で買いました。これができたことによって、仕事から帰ってきたら素振りをしたり、アプローチ練習をしてから家に入るようになりましたね。あとトーナメント中継を見てプロのスウィングにヒントをもらえると、すぐに試したくなるじゃないですか。そいうときにはここに来てクラブを握るんです」(佐久間さん)
練習スペースをよく見ると、打ったボールが戻ってくるように傾斜を作り工夫されている。裏返してみると大型の”ちり取り”と”すのこ”を使って傾斜を作り、その奥には雨どいを使ってボールを回収する手の入れよう。
打席のわきには、パターマットのように打ったボールが自動的に戻ってくる仕掛けがあるが、そこにも工夫が凝らされている。
右端のネットをめくるとグルグルと回るらせん状の部品に乗ってボールが上ってきている! ネットに当たったボールはこのらせんに乗って雨どいまで運ばれ、最終的に打った場所まで戻ってくる。いちいちボールを回収せずとも、無限に練習できる環境が整えてあった。
機械加工品の製作をする仕事をする佐久間さんにとっては、それほど作業は難しくなかったとのこと。この打席が完成したのは2020年4月。その後、毎日クラブに触りボールも打つ日々を過ごし半年以上が過ぎた。となると、気になるのはスコアはどれくらい変わったのかというところだが……?
「スコアは全然変わっていません(笑)。アベレージで90くらい、YouTubeでレッスンを見ながらいろいろやっていますが……ダメですね」(佐久間さん)
自粛期間中は打ちっぱなしの練習場も営業していなかったこともあり、運動不足の解消も兼ねて練習スペースを自作したという佐久間さん。スコアは変わらなくとも、自作のスペースで練習している姿はとても楽しそうなのであった。