羽藤氏はもともとヘッドスピード47m/sという飛ばし屋。還暦でそれだけのスピードを出せるだけでもすごいが、そこからさらに3m/sのアップに成功して50m/sの大台に載せたというのだからすごい。なにしろ、男子レギュラーツアープロ並のスピードだ。
さて、そのヘッドスピードアップには3つの要因があったという。まず最初の要因は、ズバリ身体的なものだ。
「振ったときに体がブレてしまうようだと速く振るのは難しいので、まずは”土台作り”が重要です。僕の場合、骨盤がズレていたため左足より右足のほうが長い状態でした。そこで、『リアラインコア』という骨盤のズレを整えるベルト型の運動補助具を使用したり、整体師さんに骨盤調整をしてもらったんです」
骨盤のズレを矯正したことで、飛ばしのための土台が完成。そのうえで、羽藤氏が試したのはドラコン選手が取り入れているという”予備動作”だ。
「ドラコンの選手のように、セットアップしてからの『足踏み』を取り入れるようにしました。右足かかとを上げて左足つま先に踏み込む、左足かかとを上げて右足つま先に踏み込むといったように、交互に複数回足踏みを行ったあと、右足かかとを踏んでバックスウィングを上げるようにしています。そうすると、切り返しときの間が良くなって、ダウンスウィングでもリズム感が出てきます」
それだけ? と拍子抜けしてしまうくらいのちょっとした工夫だが、骨盤の位置を整えたこと、予備動作を取り入れたことが上手くハマったようで、3m/sのヘッドスピードアップが実現したという。
ただ、羽藤氏は「実はもうひとつ思い当たることがある」という。グリップだ。
「普段は決して細いグリップではないイオミックXを使用していますが、イオミックのミッドエボリューション4.4という、握ったときに明らかに太いなと感じる太めのグリップを試していたんです。太さの割に重量がいつも使っているものと比べて3、4グラムしか重くないので、違和感なく使えるんです。この影響もあるかもしれません」
グリップは細いほうがヘッドを走らせやすく、スピードを出しやすいと一般には言われるが、なにがプラスに作用するかはわからないものだ。いずれにしても、還暦を迎えてヘッドスピード50m/sはすごい。ヘッドスピードアップを果たしたいならば、手っ取り早く試せる足踏みのような予備動作から試してみては?