新型コロナウイルスの流行によるツアースケジュールの大幅な変更、無観客で開催されたメジャーを含む多くのトーナメント。異例尽くしとなった今年のゴルフ界を、カメラマンはどう切り取ったのか? ツアーで活躍するゴルフカメラマンに「今年の一枚」を選んでもらった。その第一回は、国内のみならず海外ツアーにも積極的に出かける姉崎正が選んだ一枚。
「新型コロナが蔓延する前の時期、一足早く開幕したPGAツアーは2020年3月までは多くの観客を集めた試合が開催されていました。そのことを記憶に留めたいと思い、今年の一枚を選びました」(姉崎)
国内だけでなく、海外ツアーの撮影もこなすゴルフカメラマン・姉崎正。今年のゴルフツアーは「無観客」の印象が強いが、3月までは以前と同じように大観衆のなかで選手たちはプレーをしていた。
姉崎が選んだのは、まだツアーに観客がいた頃の記憶を呼び起こす一枚。2020年1月23日開幕の「ファーマーズインシュランスオープン」最終日でのタイガー・ウッズをとらえた一枚だ。
「タイガーが2020年の初戦に選んだ試合が、ファーマーズインシュランスオープン。開催コースはカリフォルニア州サンディエゴの北に位置するトーリーパインズGCです。2008年の全米オープンがここのサウスコースで開催され、そのとき優勝したのがタイガーでした。写真の場面は最終日の18番パー5のセカンドショットで、放ったボールの行方を目で追うタイガーとギャラリー。結果は2オンに成功し、バーディ。優勝こそならなかったものの、多くの観客がタイガーのプレーを堪能したはずです。多くの観客が素晴らしいプレーを眼前で見られる日。当たり前のトーナメント風景が1日でも早く戻ることを切に願います」
大観衆がシーンと静まり返るなか放たれる一打。それがグリーンをとらえた瞬間に湧き上がる大歓声。アドレナリン全開のプロたちの表情と、会場全体の一体感……「それを撮りたい!」というゴルフカメラマンの願いが伝わってくる。そんな一枚だ。