こんにちは、ケンジロウです。2020年も残りあとわずか、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
年末にビッグニュースが飛び込んできました。あの松山英樹が、コーチをつけたというんです。こりゃびっくり仰天、驚き桃の木山椒の木ですよね。
松山英樹といえば、プロデビューしてから特定のスウィングコーチをつけたことはありませんでした。時折アメリカの有名どころのコーチにパートタイムで教えを請うことはあっても基本的には自分でスウィングの答えを探し、いろいろと取り組むタイプでしたからね。
PGAツアーの試合会場の打撃レンジでは、球を打っては「まだ駄目だ」とうなだれ、球を打っては「まだこれじゃない」と首をかしげる、理想のスウィングを追い求めて打ち込むその姿はおなじみでしたよね。
スウィングに対してストイックなそんな松山がいったい誰とタッグを組んだのか? 今まで自分であれこれ試行錯誤して、自分で解決してきた選手ですから、コーチに求める要求は高そうですよね。
実は12月の中旬に、今季の日程を終えて帰国していた松山英樹に週刊ゴルフダイジェストの2021年年1月5&12日合併号の特集記事としてインタビューしていたのですが、そこで彼の口から出た新コーチは、「目澤秀憲」という名前でした。
その名を聞いて納得。ああ、彼なら松山英樹と対抗(対抗という表現で合っているかわかりませんが)できそうだなと思いました。
目澤コーチとはもうかれこれ3年近く、月刊ゴルフダイジェストで始まり現在週刊ゴルフダイジェストの連載でお世話になっていて、これまで何度も取材してきました。彼のスウィングの分析力、ゴルフに対しての博識、最先端理論の理解度にはいつも驚かされます。新しい知識を得るためにパッティングの講座を受けにフランスまで行くほど。
彼の何より素晴らしいことはその「アウトプット力」で、選手への伝え方が非常に上手いということ。いろんな勉強をして多くの引き出しを持っているのですが、それをひけらかすことはせず、選手に伝える表現方法は本当に単純かつ的確。
教えている河本結、有村智恵ら女子プロの選手とのやり取りを見ていても、多くを言わないその教え方のシンプルさに驚かされることは今まで多かったです。
松山はインタビューの中で、目澤コーチについてこう語っています。
「自分が過去やっていたこと、もう忘れちゃっていた部分を目澤さんはポンと開けてくれた。自分が思いつかないことを言ってくれるのでこれから一緒にやっていけたら面白いかな」(松山)
初めて二人が会ったのは今年の10月、PGAツアーの「CJカップ」のとき。
目澤コーチは河本結の帯同コーチとしてアメリカにいたところを、滞在を延長して足を伸ばして松山のところを訪れたそうです。松山は「目澤さん」と呼んでいますが、目澤コーチは松山の学年でいうとひとつ先輩。学生時代はともに学生ゴルファーとして戦っていた仲ですが、「僕は面識はなかったです。一緒に回ったこともないですし、大学も違ったので接点もなかった」(松山)という関係性。
CJカップでおそらく意気投合、その後も二人は電話のやり取りがあり、その後のヒューストンオープンで久々の優勝争いを演じたのは記憶に新しいですよね。松山が日本に帰ってきてからは、実際に何度か会ってコースや練習場でセッションを重ねてきました。
「今までアメリカのコーチにも何度か教わることもあったんですが、僕がアメリカ人じゃないのでなかなか細かい話しもできなかった。でも目澤さんの場合は日本人だし、僕の細かいニュアンスも伝えられるから、突っ込んだ話もできる」と松山英樹。
目澤コーチに話を聞くと、
「ひとつのアドバイスを、本当にすごくシンプルな言葉にして彼に伝えるんですが、そうすると彼はひらめいた様子で練習を始めます。そこで彼が元々追い求めているものとつながれば、彼自身が自分で持っているスウィングとのつながりを意識しながらグリップの握り方とか手元の位置を変えたりもする。こと細かく教えるとかではなくて、実際に僕が入り込むのはそれぐらいで十分なのかな」と具体的な話は避けながらも、世界ランキングトップ選手のスウィングの取り組み方に感心している様子。
目澤コーチは続けます。
「松山プロは体のセンサーが凄い敏感で、体の反応がとにかくいい。『トレーニングをこういう風にしていったらスウィングにつなげられる』というのを人一倍考えられるタイプですね。常にスウィングと体をつなげられるように行動しています。僕もトレーナーの飯田(光輝)さんともしゃべったりするし、キャディの早藤将太君も含めて、今後はいろいろチーム松山の方々ともっと話せるといいと思っています」(目澤)
この年末に正式にコーチ契約を交わし、来年の年明け早々に行われるセントリートーナメントから帯同することが決まったとのこと。
「まだ始まってないのもあるせいか、今は『本当にやるのかな』という気持ちもあって、実感がわきませんね。不安もありますが、でもそれ以上にあのような世界一流の選手と仕事ができることにワクワクを感じています」(目澤)
(松山英樹のインタビュー全文は2021年1月5&12日合併号に掲載)