ボールの位置は左足内側の延長線上
キャディバッグに入れる14本のクラブの中でもっとも飛ばせるドライバーは、ボールを高くティアップ(ティペグと呼ばれる道具を地面に刺し、その上にボールを乗せて地面から浮かせること)して打つケースがほとんどのため、構え方にコツがある。
正しく構えるために「まずドライバーというクラブの特徴を知っておきましょう」というのは、飛ばし屋プロ・高島早百合。
「ドライバーはティアップして打つことを前提としたクラブです。また、ショットを打つクラブの中でドライバーはロフト角(シャフトの垂線とフェース面の作る角度)が一番小さく、フェース面の傾き度合いが少なくなっているのも特徴です」(高島、以下同)
フェース面の傾き具合が少ないため、体の中心付近にボールが位置した状態で構えると、インパクトの際にボールは高く上がらず、飛距離が出なくなってしまうという。
「なので、ドライバーのボール位置は自分から見て体の中心よりも左側に置きましょう。スウィング中のクラブヘッドの動きを正面から見ると、弧を描く振り子運動のようになっているのですが、ボール位置を左側に置くことで、ちょうどヘッドがもっとも低くなる点を少し過ぎてフェース面が上向きになり始めた辺りでインパクトできるので、ロフト角が小さくてもボールを高く打ち出すことができるようになります」
ボール位置は、左足の内側の延長線上が基本。そのうえで、クラブを構えていく。
「まず、ボールに対してフェース面が真っすぐ向くように構えましょう。ヘッドのシャフトが差さっている側をヒール、その逆側をトウと呼びますが、トウ・ヒールのどちらかが浮き過ぎないように注意してください」
しかし、ドライバーはソール(クラブヘッドの底面)が湾曲しているので正しく構えられているかがわかりづらいが、高島は「写真Aのソールと手のひらが接している部分を、構える際に地面に付ける位置の目安にしてみてください」という。
正しくクラブを構えられたら、フェース面の延長線上に体の中心部分を合わせ、両足を揃えた状態で立とう。ここから、両足の間隔を空けてスタンスを作っていく。
「ドライバーの場合はボール位置を左に置きたいので、左足は靴一足ぶん開き、右足は肩幅よりやや広めになる程度まで開きます。ボールが左足内側の延長線上に位置しているのが理想ですね」
このとき、右足側を開いていく際に「一緒に手元も右側に動いてしまわないよう注意してください」と高島。
「手元が動いてしまうと、一番最初に作った正しいクラブの構えが崩れてしまいます。手元の位置をキープしたままで右足を開いていきましょう。目安としては、グリップが自分の左股関節内側を指しているくらいが理想的。くれぐれもお腹の方に向かないようにしてくださいね」
手元の位置はキープしたままだが、自分の体の中心線はあくまでスタンスの中心に置くのが正解。「目安として、頭の位置はボールよりも右側にあるのが正しい形です」という。
「手元の位置をキープしてクラブの角度を保ちつつ右足を開いていくと、右腕が遠く感じると思います。体が右に移動したぶん、右肩は少し下げましょう。右肩を下げないままにしてしまうと、左肩よりも右肩が体の正面側に出た状態となってしまい、真っすぐ構えることができなくなってしまうので注意です」
クラブを正しく構え、スタンス幅とボール位置が決まったら、あとは「4つのチェックポイントで上半身の前傾角度やクラブ・ボールと自分の体との距離を調整しましょう」と高島。
「チェックポイントは【1】クラブを正しく構えられていること。【2】左肩から左腕が地面に対し垂直に下りた位置でグリップすること。【3】体とゴルフグリップの間に拳1.5~2個ぶん程度の隙間があること。【4】スタンスを取ったときに、両足の土踏まずの少し前、母指球辺りに重心が乗っていること、の全部で4つ。これらをすべて満たすことが、最適なアドレスの条件です」
上記の4つのチェックポイントと照らし合わせつつドライバーを構えると、「アイアンと比べてボールが遠く感じますが、前傾角度自体はほとんど変わりません。唯一変化するのが左手首の角度です」と高島。
「アイアンの場合は左腕と左親指が真っすぐになるくらいの角度ですが、ドライバーではその角度がより付くようになります。これはアイアンとドライバーではクラブヘッドに対してシャフトが取り付けられている角度が違うから。ドライバーとアイアン、どちらも左肩から左腕が地面に対し垂直に下りた位置でグリップしてほしいのですが、シャフトの角度の違いで手元の高さが若干変わるので、左手首の角度で調整しましょう」
これでドライバーのアドレスは完成だ。高島のレッスンを参考に覚えてみよう!