自分にマッチしたギア選びはスコアメークにも直結する。重量、バランス、ロフト、長さなど14本のクラブをどうセッティングするのかは本当に悩ましいところ。ギアライター高梨祥明がジュニアからシニアまで考えるべきクラブの長さについて考察した。

スウィングだけでなくクラブセッティングも“激似”のウッズ親子!

先週はPGAツアーのエキシビジョンマッチ「PNC選手権」が行われ、タイガー・ウッズ親子ペアが大きな注目を浴びた。11歳の長男、チャーリー君がみせたスウィングやプレー中の何気ない所作が“タイガーに激似!”と話題になったのだ。

激似!といえば、チャーリー君のクラブセッティングもかなりパパ似だったようだ。米国メディアの報道によれば、チャーリー君は、テーラーメイドのクラブ(1W:SIM/3・5W:SIM MAX/IRON:P7MC#3-PW/WEDGE:MG2 56°60°)とブリヂストンのボールを使用していた。

ちなみにタイガーパパは、テーラーメイドのクラブ(1W:SIM/3W:SIMチタン/5W:M3/IRON:P7TW #3-PW/WEDGE:MG2 56°60°)と、ブリヂストンのTOUR B XSボールである。

画像: PNC選手権に出場したタイガー・ウッズ(右)と息子のチャーリー(左)(写真はGettyImages)

PNC選手権に出場したタイガー・ウッズ(右)と息子のチャーリー(左)(写真はGettyImages)

モデル選択こそ違うが、セットの構成としてはほぼ同じ。1、3、5Wと#3〜PWのアイアン、56°、60°のウェッジ。チャーリー君のセットは、子供らしくハイブリッド(UT)が多く入っているわけでもなく、ジュニア専用のモデルでもなかった。米国テーラーメイドではジュニア用セット“RORY“を展開しているが、SIMやP7アイアン、ミルドグラインドウェッジのジュニア用はなし。このことからチャーリー君は大人用ヘッドを工夫して使用していると推察できる。

さて、ここからが話の本題だ。ヘッドだけを見れば親子で似たような構成のクラブセッティングだが、どこが大きく違うかといえば、それはシャフトの“長さ”である。もちろん、シャフトの種類や重さ、硬さも全然違うわけだが、それは大人のプロ同士でも当たり前のこと。ウッズ親子に限らず、古今東西、子供用と大人用でまったく違うのは、クラブ各番手の“長さ”なのである。

これだけ身長差があれば、長さが違って当たり前! そう思うかもしれない。背の小さい子供に大人用の長いクラブを持たせたら、誰だって“使いこなせるはずがない!”と、すぐにわかるはずだ。では、タイガー・ウッズやダスティン・ジョンソンらと我々は、同じ“長さ”のクラブを使っていてよいのだろうか? タイガーの身長は185センチ、ダスティン・ジョンソンは193センチだ。見ての通り、身体能力もあきらかに違う。同じ大人というだけで、彼らと同じような長さのクラブを使っていて良いのか? 今更ながら、そう思うのである。

最大飛距離を目指せばクラブは“長く”なる。安定した結果を目指せば、“短く”なる

チャーリー君のスウィングとクラブセッティングを見ると、しっかりとクラブを振り切るためのポイントは“長さ”にあることは明白だ。身の丈に合った長さのクラブを使っているからこそ、大人用ヘッドでもあれほどしっかりと振り切れ、打球を正確にコントロールしていくことができるのだ。

もちろん、チャーリー君は特別な存在だ。単純に長さを短くしただけのクラブを使っているとは思えないが、クラブを短く握って振ってみたり、短いクラブのほうが当てやすく感じたりする感覚はゴルファーならば誰もが持っているはずだ。長いクラブを正確にコントロールするには、チカラ(パワー)が必要。それが長尺の子供用クラブがない理由である。しかし、大人向けとなるとパワーがない人、飛ばせていない人向けのクラブほど“長尺”になる傾向がある。このあたりがゴルフクラブ作りの矛盾であり、“難しさ”になっているような気がしてならない。

分岐点は、過度に飛距離性能を求めるか、求めないかにあるだろう。子供は成長すれば誰でも今より飛ばせるようになる。だから幼い頃はとにかく振りやすさと当てやすさ優先と割り切ることができる。しかし、大人は加齢とともに飛ばせなくなる一方だ。だから、軽量化を条件に、クラブをどんどん長くしていく道を辿る。当てやすさ、扱いやすさが二の次になっていくのだ。それが飛距離追求の代償だ。

テレビ中継やネット動画でチャーリー君のプレーを見て、みんなが“パパにそっくりなスウィング!”と驚いた裏には「身の丈に合ったゴルフクラブ」の存在があるのだ。タイガーや欧米プレーヤーと同じような感覚でクラブを振り、ヘッドをコントロールしたいと思った時に、彼らと同じ“長さ”の道具を使っていてもよいのだろうか? 彼らよりも“長い”クラブでよいのだろうか? と考えてみていただきたい。このあたりに、自分なりのクラブセッティングを構築していく手がかりがあると思う。

画像: 【飛ばしたい人必見】理想的なスウィング軸で飛ばすためのアドレスの作り方【吉田一尊プロ】 youtu.be

【飛ばしたい人必見】理想的なスウィング軸で飛ばすためのアドレスの作り方【吉田一尊プロ】

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