2020年は勝利こそなかったものの、米女子ツアーで賞金ランク5位。世界ランクは日本勢最高位の7位と世界のトップ選手として定着した畑岡奈紗。そのスウィングを、プロゴルファー・中村修が解説。
畑岡奈紗選手の素晴らしい点は、飛距離、球の高さ、スライス・フックなどを打ち分ける技術力の高さにあります。ドローを打ったり、フェードを打ったり、高低を打ち分けたりと多彩な技術と、卓越したコースマネジメントを組み合わせてコースを攻略できる。さすがは世界のトップランカーです。
彼女の場合、最近のプレーヤーに多いフェースをシャットに(閉じた状態で)使うタイプではなく、体の回転に伴って自然な開閉でフェースをスクェアに使っていくタイプ。
そのフェースの開閉を、特徴的なダウンスウィングでの“ジャンプ”によってコントロールしています。いわゆる地面反力を使うスウィングが彼女の特徴ですが、左足がピンと伸びる、ジャンプするような動きによって体を回転させ、フェースターンもうながしています。
ドライバーでは大きくジャンプしてフェースを積極的にターンさせてしっかりとボールをつかまえ、ショートアイアンではジャンプを小さくしてフェース面を管理してラインを出す。フェースの動きと体の動きを調和させ、自由自在にコントロールする高度な技術です。
また、以前彼女をインタビューした際、調子が悪いときは試合中でも試行錯誤をして調子を整えていると教えてくれました。それを可能にしているのが、普段の練習で積極的に行うメモ。調子がいいときの状態をしっかり把握できているからこそ、試合中でも感覚を呼び起こすことができる。この修正力、対応力も並外れたものがあります。
2021年、彼女が狙うのは勝利はもちろん、メジャータイトルであり、オリンピックの金メダルだと思います。日本のエースの活躍を、2021年も楽しみにしたいと思います。