2020年は日本女子オープンとLPGAツアー選手権リコーカップの公式戦タイトルをふたつ獲得した原英莉花。2019年の初優勝からさらなるブレークを果たした大器のスウィングを、プロゴルファー・中村修が解説。
身長173センチの恵まれた体格を持つ原英莉花選手。その長身を目一杯使ったスウィングが、彼女の特徴です。
原選手のすごいのはバックスウィングの大きさ。背中がターゲットを向くどころか、そこからさらに回転して、正面から右肩がはっきり見えるほど深いトップを作っています。
そして、ものすごく深いトップを作ることで、切り返しの瞬間上半身と下半身の捻転さが極めて大きくなります。この捻転差が一気に開放されることで、大きな振り抜きを生んでいます。背の高さ、腕の長さを活かした、彼女にしかできないダイナミックなスウィング。まるで高弾性のゴムの板をねじり上げ、それが一瞬でねじり戻るような印象を受けます。
緊張したり、狭いホールで曲げたくない場面など、深いバックスウィングをとるのはともすれば難しく感じるもの。曲げたくない! と感じれば、どうしてもトップは小さくなりがち。ですが、原選手の場合それがないんです。優勝した「リコーカップ」でも、最後まで深いトップを取り続け、強い打球を打ち続けていました。
彼女にとってはこの深いトップが心地よく、もっともタイミングがとりやすいのでしょう。そこから左サイドへは移動せず、フォロー方向へと体を回して、一気にフィニッシュまで振り抜いていくスウィングにはブレがありません。
賞金ランク3位で2021年へと突入していく原選手。賞金女王候補の一人として、さらなる潜在能力を見せてくれるのではないでしょうか。