グリップ、アドレス、テークバックなど、ゴルファーにはタイプごとに適正なカタチ、適正な動きがある。もちろん、切り返しにもそのタイプの違いは表れる。
「切り返しのタイプの違いは、スウィングのカタチではなく、『地面にどうやって圧力をかけるかの違い』として表れます。自分のタイプがわかったら、切り返しでは左足と右足、どちらで地面に圧力をかけていくのか。そのあと、どのようにクラブを下ろしていくのかを理解しておくと、スムーズにスウィングできるようになると思います」(目澤)
スウィング軸の“タイプ”は、大きく左軸、センター軸、右軸の3つに分けられる。世界のトップ選手でいえば、ブライソン・デシャンボーは左軸、タイガー・ウッズはセンター軸、ダスティン・ジョンソンは右軸だ。そのタイプごとに、切り返しでの“地面への圧力のかけ方”が異なるというわけだが、具体的にはどう違うのだろうか。
タイプごとに適した切り返しを教えてもらおう。まずは左軸タイプから。
「左軸の人は、切り返しで左足を踏み込みます。トップでは左にしっかりと加重されていますし、左へ移動も少ないため、踏み込んだ反動で左ひざを伸ばすタイミングは早め。その動きにともなって、左腰と左肩を引き上げるような縦方向に力を出すイメージを持つと、左サイドが自然と回転しスピードと再現性の高い動きになるはずです」
左軸タイプはトップで左に重心があるので左へ移動する必要がなく、地面を踏み込んだ圧力を利用して左サイドを回転させる意識を持つと覚えておこう。
続いてはセンター軸タイプ。
「タイガーのようなセンター軸タイプは、切り返しで左サイドに踏み込んだら、そのあとは体を積極的に回転させていきます。左軸タイプがもっぱら縦のエネルギーを使うのに対して、センター軸タイプは切り返しは同じように左サイドに踏み込むのですが、そのあとは回転力でスウィングしていくのが特徴です。左へ少し移動する力を利用することで入射角を確保してダフりにくくなる効果もあります」
センター軸で回転しようとすると、リリースも早くなりダフるケースがある。切り返しで左への移動が入ることでクラブの最下点がターゲット方向にズレ、クラブの通り道(=入射角)が確保できるというわけだ。
ただ、同じセンター軸でも左への移動が少ないマット・クーチャーのようにその場で回転するタイプも存在する。左への移動する度合いは個人差があってもまったく問題はないという。
そして右軸タイプは、切り返しで左へ移動せず右足に圧力をかけたままにすることがポイントだという。
「右軸タイプは、右股関節の内側に軸を感じながらスウィグするタイプで、トップで頭もその軸線上にあり、体重も右サイドにかかっています。右足で地面を踏む圧力を抜かないように切り返すのが右軸タイプのポイント。左サイドに移動しようとせずに右足で地面に圧をかけ続けながら回転しようと意識すると、スムーズにクラブが下りてきます」
右軸のタイプは、鈴木愛や浅井咲希のスウィングが大いに参考になると教えてくれた。スウィング軸のタイプによって切り返しでかける地面への圧力のかけ方に違いがあり、自分のタイプにマッチしたやり方をすることで再現性が高く、距離も稼げるスウィングになる。基本になる下半身の使い方をマスターしよう。
取材協力/Five elements