PGAツアー初戦「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」で勝利をつかんだハリス・イングリッシュ。ツアー3勝目を挙げたわけだが、今大会が8年ぶりの優勝。果たして彼が復調した理由とは?

今年初戦の米PGAツアー「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」は、チリの新星ホアキン・ニーマンとのプレーオフを制したハリス・イングリッシュが優勝。2013年「マヤコバクラシック」以来のツアー3勝目を飾り、フェデックスカップランキング2位、世界ランキング17位に浮上した。

彼は昨年、ツアー再開後にツアーで5人目のコロナ陽性者となり、戦線離脱を余儀なくされたが、それでもフェデックスカップファイナルに進出し、ツアーエリート30人のみが出場できる「ツアー選手権」に出場。通常、「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」は優勝者のみが出場できるが、コロナウイルスの影響で優勝者の数が少なかったため、今年限りに限って「ツアー選手権」出場者にも出場枠が広がったおかげでハリスに大きなチャンスが転がり込んだのである。

「本当に素晴らしい!今週はずっといい位置をキープできていたけど、こういうチャンスはそうそうあるわけじゃない。ツアーで勝つのは本当に大変なこと。でも、今週はショットもパットもずっとよかった」

画像: 今年初戦のPGAツアー「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」で優勝したハリス・イングリッシュ(写真はGettyImages)

今年初戦のPGAツアー「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」で優勝したハリス・イングリッシュ(写真はGettyImages)

「ホアキン(・ニーマン)とジャスティン(・トーマス)が追ってきてたから、僕も何かしないと追いつかれてしまう状況だったけど、こういう状況って好きなんだ。子供の頃にバスケットボールをやっているときも、あと少しで時間切れ、という時にボールを奪ってゴールをトライするという状況が大好きだった。昨年末、マット・クーチャーと一緒に組んで出場した『QBEシュートアウト』でもちょっとそういう気分を味わうことができたけどね」

2016年まではフェデックスカップで50位以内をキープしていたイングリッシュだが、2017年は118位、2018年は125位(シード圏内ギリギリ)、2019年は149位とシード圏外まで成績が落ち込み、スランプに陥っていた。そこで彼は、自宅のあるジョージア州シーアイランド(デービス・ラブⅢ、ブラント・スネデカー他、多数のPGAツアー選手が居住するエリア)に住むマネージャー、コーチ、トレーナーたちとチーム一丸となって、もう一度調子を取り戻し、優勝争いができるようにするために団結。1〜2年の時間をかけて、トレーナーのトム・ヘミングスと体作りに取り組み、スウィングコーチとトレーナーが何度も会話を重ねることで、正しい体の使い方、スウィングができるようにイングリッシュを指導。安定感のあるショットができるようになった。

また、彼は前述のようにコロナウイルスに感染したが、自宅隔離中の8週間を非常に有意義な時間に費やしたことも大きかった。試合のことは考えずにリラックスし、一生懸命にトレーニングを積み、体を作り上げたのだという。その結果、ツアーに復帰した時にいいゴルフができるようになっている、という実感があった。自分が優勝争いをしたい競争相手たちは皆、自分よりもトレーニングに一生懸命励んでいると思っていたが、コロナ隔離中は、試合に出られないという焦燥感ではなく、自分の心と体を見つめ直す時間を十分に持てたことで自信を取り戻し、正しいスイング作りにじっくり取り組むことができたようだ。

その結果、昨年のコロナによるツアー中断後の「RBCヘリテイジ」から、2020年度シーズン最終戦の「ツアー選手権」まで予選落ちは一切なし。夏以降の試合では「ノーザントラスト」2位、「全米オープン」4位、「RSMクラシック」6位、「マヤコバ・ゴルフクラシック」5位タイなど何度もトップ10入りを果たし、かなり復調の兆しが見えてきていた。

そして2020年の自身最終戦となった「QBEシュートアウト」では、ツアー非公式ながらもマット・クーチャーとチームを組み、優勝。そして今大会でついに8年ぶりの優勝を果たすことができた。

「調子を取り戻すために試行錯誤を繰り返していると、そこから抜け出すまでが本当に大変。ツアーの仲間たちと賞金をかけて戦いながら、自信を取り戻すには時間が必要なんだ。でも、ラウンドを積み重ねているうちに突然自信を持てるようになり、スランプの山を克服して優勝できるのはすばらしいね」

彼の今後の目標は、敬愛するスティーブ・ストリッカーが主将を務める「ライダーカップ」入りを果たすことだという。昨年はコロナウイルスの影響で同大会は今年に延期となったが、コロナのおかげでイングリッシュにもチーム入りの目が大いに出てきた。大学時代から団体戦が好きだという彼が、強豪揃いの米国チームメンバーとしてどう戦うのか、楽しみである。

This article is a sponsored article by
''.