マスターズを主催するオーガスタナショナルのフレド・リドリー会長は昨年11月の大会成功を受け「4月には限られた数のパトロンを我々が責任を持って招待できると確信している」と語った。
もちろん第一に掲げたのは「その場に居合わせる全員の健康と安全を保障すること」。その上で1月18日までにすでに販売済みのチケットのステータスを該当者に通知し、今年入場が許される選ばれしパトロンには新しいチケットを郵送するとした。
しかし選ばれなかった場合も2022年の大会に同じチケットで入場することが可能で、払い戻しにも応じるという。入場者は開催週の前にPCR検査陰性であることを証明しなければならない。
どの程度の入場人数になるかは発表されていないが、少なくとも4月にはオーガスタの杜にパトロンの歓声が響くことになりそうだ。2019年に世紀の復活を果たしたタイガー・ウッズや昨年11月ついにグリーンジャケットに袖を通したダスティン・ジョンソンらの熱戦が期待される。
一方、開催できるのかどうか未だ不透明な東京オリンピックは、たとえ開催するとしても無観客の可能性がある。
112年ぶりにゴルフが五輪競技に戻ったリオ五輪ではジャスティン・ローズ、ヘンリック・ステンソン、マット・クーチャーが金銀銅メダルに輝いたが、1つ疑問に思うことがある。それはなぜ国別の団体戦ではなく個人戦のみが行われたのか、ということ。
その疑問にゴルフ五輪復活を実現したインターナショナルゴルフフェデレーション(IGF)の元会長ピーター・ドーソン氏がこう答えている。「IOCはライダーカップのように派手なイベントではなくメジャー大会のようなオリンピック形式(派手ではない純粋な競技)、すなわちストロークプレーでの戦いを望んでいたのです」
ドーソン元会長によると各国の選手のストロークプレーのスコアの合計をチームスコアとする競技方式も「議題にすら上らなかった」というのだ。また世界各国のツアーに五輪期間中2週間中断して欲しいという要望を出したがそれも不発に。交渉にあたり「1週間が限度」というツアー側の姿勢もチーム戦が開催できない要因のひとつだという。
確かにメジャーはストロークプレーでの争い。だがフィールドは広くそのときもっとも強い選手たちが競い合う。一方五輪は原則各国2名、最大4名のみに出場が許されるため世界ランク上位選手でも弾き出されてしまうこともある。逆にたとえばインドのように世界ランク294位と300位の選手に出場権が巡る事態も。本当に強い選手の戦いにならないならやはりワールドカップのように国別対抗戦にすべきだと思うが……。