テークバックの始動のきっかけを作る動作「フォワードプレス」。トッププロのスウィングにも見られるこの動き、いったいどんなメリットがある? プロゴルファー・中村修に教えてもらおう。

多くのプロたちはアドレスからただテークバックするのではなく、フォワードプレスという動作を取り入れてスウィングの始動を行っています。

フォワードプレスを詳しく説明すると、スウィングのスムーズな始動を作るための予備動作のこと。ざっくり言うと、動きたい方向とは反対方向に重心を移動させることで、より動き出しやすくなるという効果を得られます。

人は日常生活の動作でも無意識にフォワードプレスを活用しています。たとえば座っている椅子から立ち上がろうとするときには上半身をおじぎするように前に倒してから立ち上がるはずですよね? これも、動きたい方向(上)とは反対方向(下)に重心を移動させることで立ち上がりやすくする動きを自然と取り入れているわけです。

これをゴルフスウィングに当てはめると、クラブをターゲットとは反対方向に動かす(テークバックする)よりも前に、手元をターゲット方向に少し動かしたり、足踏みをしたりとわずかに重心を動かし、その反動を利用することでアドレスの「静」からテークバックの「動」への動き出しをスムーズにすることができます。そうすることで動き出しがギクシャクせず、スウィングテンポを一定にする効果もあります。

PGAツアーのプロで言うと、ダスティン・ジョンソンは手元をターゲット方向に押し込んでから始動していますし、マシュー・ウルフも腰をターゲット方向に回転させることをきっかけに始動しています。

例としてマシュー・ウルフのフォワードプレスを見てみましょう(画像A)。打つ前に腰を回転させる動きが目につきますが、そのあとにテークバックに入るのではなく、手元をターゲット方向に押し込んでから始動するフォワードプレスを取り入れています。

画像: 画像A:マシュー・ウルフの始動を始動を見ると、アドレス時(左)から腰を回転させたあとに手元をターゲット方向に動かすフォワードプレスの動作が入ってから(中)テークバックしている(右)ことがわかる(写真/姉崎正)

画像A:マシュー・ウルフの始動を始動を見ると、アドレス時(左)から腰を回転させたあとに手元をターゲット方向に動かすフォワードプレスの動作が入ってから(中)テークバックしている(右)ことがわかる(写真/姉崎正)

そして手元をターゲット方向に動かす際にひざに注目してみると、アドレス(左)では両ひざにゆとりがありますが、手元をターゲット方向に動かすフォワードプレスを行った瞬間は左ひざが伸び腰もわずかですが右足寄りに動いています。手元だけの動きだけでなく下半身を含めた重心の移動を利用してスムーズにタイミングよくテークバックすることにつながっています。

テークバックの動き出しはクラブヘッドから、あるいは下半身からなど個人差はあります。ドラコン選手の中には大きく足踏みをする選手も存在します。違いはあれど、スウィングにおいて高い再現性を実現しながらターゲットに飛ばすという目的は同じです。

そのためにはいつも一定のテンポでスムーズに動き出すことがとても重要で、その助けになるのがフォワードプレスなのですが、アマチュアの方のスウィングを見るとフォワードプレスをせずにそのままクラブを上げ始める方もなかにはいます。

安定したスウィングを手に入れるためにも、フォワードプレスを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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