ヘッドスピード速い=硬いシャフト。遅い=柔らかいシャフト。シャフトフレックスにはこのようなイメージがあるが、その固定観念は一回捨ててほしいと菅野氏は言う。
「以前フィッティングしたヘッドスピードが40m/sもないある女性ゴルファーは、某シャフトメーカーのXシャフトを差して、ヘッドの重心位置を調整したら、打点が揃って飛距離もアップしていました。このように、ヘッドスピードだけでフレックスが決まるわけではないんです」
逆に、ヘッドスピードが50m/s以上もある超パワーヒッターの男性に一番合うのが60グラム台のRシャフトだったという例も過去にあったという。スウィングとの相性はもちろん、ヘッドとの相性、シャフト自体の重さや個性も絡みあって、ゴルファーごとに合うフレックスは変化する。ヘッドスピードが30m/s台だから柔らかいシャフト、50m/sあるからXシャフトといったように、一概には言えないのだ。
また、シャフト試打などで気に入ったシャフトが見つかったら、どんなヘッドで試打をしたのか? グリップや総重量、長さなどもメモしておくといいと菅野氏は言う。
「ヘッドによって、ネックにシャフトを何インチ差すかも異なってきます。それだけでもシャフトの硬さは変わり、振り心地も変わってくる。だからこそ、シャフト試打の際は、ヘッド、グリップ、長さなどの情報を担当者に聞くなどして、リシャフト時にはクラフトマンにそのデータを伝えるといいと思います」
クラブはシャフトだけではなくて、ヘッドやグリップがあってこそのゴルフクラブ。自分のエースドライバーと違うヘッド、違うグリップで試打したのならば、同じシャフトを装着してもそれは違うクラブになってしまうというわけだ。
このように、シャフトが合う・合わないを決める要素はスウィングとの相性、ヘッドとの相性などが複雑に絡み合う。それだけに、ヘッドスピードだけを基準にフレックスを選ぶのは得策とは言えないと言うわけだ。
リシャフトはクラブの振り心地を変え、結果をも激変させる可能性を秘めている。フレックスの表記にこだわらず、自分にピッタリ合うものを見つけよう。