2008年にはステップ・アップ・ツアーで賞金女王に輝いた大谷奈千代。現在はジュニアゴルファーを始め多くのアマチュアゴルファーを教える指導者として活躍している。そんな大谷は「ゴルフノートを書くことが上達するための近道」という。
「まずは私自身の例からご説明すると、私は現役時代、コーチや先輩などから教えてもらったことをノートに丸写しして、そのあと自分の言葉でまとめるようにしていました。ゴルフは足し算だけでなく引き算も大切なので、そうすることで自分に何が必要なのか、明確にすることができるんです。あとはラウンドした日の天気、芝の状態、自分の体調などを記録して、夏に比べて冬は何ヤード落ちている、という具体的な数字を把握するようにしていました。これがラウンドですごく役に立つんです」(なっち先生、以下同)
写真Aは大谷が2014年に出場した「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」で記録したノートだが、ライ、風向き、距離、ピンポジジョン……というようにどんな状況で、どんな選択をしたか、と細かく書かれている。これだけ正確に記録するからこそ、自分のなかに基準が生まれ、似たような状況に直面した際に最適な選択肢を選べるようになるわけだ。
ただ、ここまで記録するのはさすがにプロゴルファーだからこそ。では、アマチュアゴルファーはどんなことを書いたほうがいいのだろうか?
「たとえば、100切りを目指しているアマチュアゴルファーであれば、つま先上がり、つま先下がり、左足上がり、左足下がりの4つの傾斜で、『当たったか、当たらなかった』かをスコアカードなどにメモしておくことがオススメです。コースには練習場のようにフラットではなく少なからず傾斜があるもの。4つの傾斜のどれでミスが多いかを知ることができれば、それだけでも上達するきっかけになると思いますよ」
その際、ポイントは「右に曲がった、左に引っかけたという結果はひとまず置いておいて、ちゃんとフェースに当たったのかをメモしておくこと」だという。
「スウィングタイプによって苦手なライはありますから、それを記録したらなぜ苦手なのか、どうしたら打てるのかを練習場で考えて練習してみましょう。それが上達につながりますし、スコアアップするためのきっかけにもなるはずですよ」
たとえば左足上がりでミスが多いとわかれば、それを掘り下げていく。どうやらダフリのミスが多いようだとなれば、原因は右サイドに体重が残り過ぎていること。逆にトップのミスが多いとなればは左サイドに体がつっこんでしまっている……というふうにセルフ分析ができるようになる。悪い動きを矯正するように練習し、またノートを付け……と繰り返し行うことで、ミスが減り、自分の中の技術の引き出しが増えていくということだ。
もちろんこの方法は、次のラウンドで劇的にスコアが良くなるような特効薬ではない。半年、1年の時間をかけてコツコツ積み上げていく類の、地味な上達法だ。しかし、だからこそ間違いなく効果は出る。
まずは「傾斜地から当たったか当たらなかった」だけでも記録する。最近ベストスコア更新できてないのなら、まずは苦手なライを見つけるところから始めてみてはいかがだろうか?