ティレル・ハットンはイングランド出身の29歳。173センチと小柄ながら、過去に欧州ツアーで6勝(今回のアブダビHSBCの勝利含む)を挙げ、2020年シーズンには「アーノルドパーマー招待」でPGAツアー初優勝も掴んでいる。そして今大会を勝利したことにより世界ランクは9位から5位へジャンプアップ。ダスティン・ジョンソン、ジョン・ラーム、ジャスティン・トーマス、コリン・モリカワに次ぎ、世界のベスト5プレーヤーに名を連ねることとなった。
ちなみに6位はロリー・マキロイ、7位はブライソン・デシャンボー。メジャー王者たちより上位につける、もっとも“旬”な選手の一人なのだそんなハットン、いったいナニモノなのだろうか?
プロゴルファー・中井学はその印象をこのように語る。
「驚くほど欠点がないタイプのプレーヤーだと思います。ドライバーが大きく曲がるわけでもなく、アイアンのパーオン率も高いですし、アプローチパッティングに関しても本当に隙のない選手です。世界ランク上位には飛距離でねじ伏せる選手もいますが、そういうプレーヤーとは対極的ですべてにおいてオールラウンドプレーヤーで、ナイスガイ、勝負勘が強い印象ですね」(中井)
実際にスタッツを見ると、傾向として毎年パーオン率が高く、パーオン率が高いとパット数は増える傾向があるが、パーオン時平均パット数のランクも高い。必然的に平均ストロークの順位も上位になっている。身も蓋もない言い方だが、要するにショットもパットも上手い。
プロ初優勝を挙げた2016年から2021年シーズン(現在)の成績をみてみると、2018年こそ勝利を挙げることはできなかったが、それ以外のシーズンでは1勝以上を挙げているのも納得がいく。
「ヨーロッパのコースって落としどころが狭かったり、高低差が多かったり、ライが硬かったりとコースのバリエーションが大きいので、様々なショットが要求されるわけです。ハットンはそういった中で生き抜いてきている選手で、昨年はアメリカツアーで優勝もしていますし、今後もさらなる活躍できる選手の1人だと思いますね」(中井)
メジャーに勝っていない選手なかでは、2位のラームに次いで世界ランク上位につけるハットン。この名前を覚えておくと、今年のメジャー戦線がより楽しめるかもしれない。