ゴルフを始めたばかりのゴルファーがボールを狙ったところへと運ぶのは困難。林のなかから脱出する必要がある場面は多いが、1回で脱出するのが簡単ではない。林のなかでのスコアの浪費を防ぐには、どうしたらいいのだろうか?
プロゴルファー・兼濱開人は「まずは正しい番手選びからです」という。
「僕は初心者の方にはいつも、林のなかには9番アイアン、7番アイアン、5番アイアンを持っていきましょう、と話しています。中には1本だけ持っていくゴルファーもいますが、林の状況によって高い球、低い球、その間の球を打つクラブが必要になりますから、1番手飛ばしで3本持っていくほうがより簡単に脱出できるはずですよ」(兼濱、以下同)
9番アイアンだと上の木に当たる可能性があるが、5番アイアンだと球が上がらなさ過ぎて手前のラフに食われるかもしれない……ならば中間の7番アイアンを選択するのがベター。林の中に行かないとわからないからこそ、3本持っていく必要があるということだ。
ちなみに、初心者のなかには「短くて打ちやすいから」と林のなかにサンドウェッジを持っていく人がいるが、これはいい選択肢とはいえない。ボールがもっとも上がるクラブであるサンドだと、上空の枝に当たる確率が増える上、ロフトが多いため実はクリーンヒットも難しかったりするからだ。
持っていくクラブは9番、7番、5番。その上で、狙いどころを選んでいく。
「情報量が増えると人ってパフォーマンスが落ちますから、『上手く打てれば出せる場所』ではなくて、『90%出せるところ』を狙うと決めておくことがオススメ。それが仮にグリーンから離れてしまう後方だとしても、ショットに集中できますから凡ミスも減ってくると思います」
たとえ後ろに下がるとしても、1回で脱出できればスコアの傷口は狭い。無理に狙って2回、3回と脱出に費やしてしまうと「120切り」は遠のいていく。
18ホール中、11ホールトリプルボギー、7ホールダブルボギーでスコアは「119」。だからこそ「明確に120切りを目指している人なら、トリ(トリプルボギー)でもOK!と林から出すだけを考えたほうがスコアメークにつながります」ということだ。
そうして脱出するための通り道を決めたが、打つときにはどんなことに気をつけたらいいのだろうか。もっとも大事なのは「フェース面をターゲットに合わせること」だと兼濱はいう。
「出球は70%がフェース面で決まりますから、ボール後方からボールとターゲットの間にスパット(目印)を見つけて、そこに対してフェース面を向けて構えることが第一です。スタンスは狭く、ボールをアゴ下(真ん中)に置いたら、足だけを左へ45度向けましょう。そうすると真ん中に置いたボールが自然と右つま先の前ににきて、上からダウンブローで打つやすくなります」
要するに、アプローチのような打ち方をとる。その上で「低く打とうと工夫をしないほうがミスは少ない」という。低い球で打とうとするあまりボールを過度に右足寄りへおいてしまうのは初心者ゴルファーあるある。しかしそれでは球の高さが足りずにラフにガサガサと食われてしまう可能性が高いし、ザックリのミスも出やすい。「あくまでも高さは番手で切り替えたほうがいい」とのことだ。
とはいっても、120切りを目指すゴルファーに番手ごとの高さを把握しろというのはコク。そこで、とっておきのアドバイス。
「オススメなのは全番手で30ヤードを打つ練習をすることです。そうすることで、球の高さや大体のキャリーとランの対比がわかるので、フェアウェイへ脱出できる可能性が高まると思いますよ」
林から脱出したと思ったら球が転がり過ぎて、反対側のラフ、もしくはOBに入ってしまうこともある。そういった小さなミスを防ぐために、練習場では最低限5番、7番、9番だけでも林に入ったことを想定して練習してみてはいかがだろうか?