1年ごとに各メーカーからニュードライバーが発売される昨今。となると気になってくるのはその進化の度合いだ。1年ごとの進化は感じにくいが、10年前のモデルと比較してみたら? そこでプロゴルファー・中村修と堀口宜篤が、キャロウェイの2021年モデル「エピックスピード」と2010年発売の「レガシー タイプS」の比較試打を実施。最新モデルは本当に飛ぶのか!?

2021年最新モデルと10年前のモデル、性能的にはどのくらい違う?

「毎年毎年ドライバーが飛距離アップしているなら、今ごろ俺は400ヤード飛んでるよ」新商品が発表されるたびに繰り返される、ゴルファーの“定番オヤジギャグ”だが、たしかにそうだなと実感したことのある人は多いだろう。

そもそもの話、最新ドライバーは以前のモデルと比べてどれくらい進化しているのだろうか。それを確かめるべく、2021年の最新ドライバーと、約10年前に発売されたドライバーを、プロゴルファー・中村修と堀口宜篤の両名に打ち比べてもらった。

画像: プロゴルファー・中村修と堀口宜篤が最新ドライバー、エピックスピードと約10年前に発売されたレガシー タイプSを比較試打!

プロゴルファー・中村修と堀口宜篤が最新ドライバー、エピックスピードと約10年前に発売されたレガシー タイプSを比較試打!

比較試打に用いたのは2021年モデルとして発表されたキャロウェイ「エピックスピード」と、2010年発売のキャロウェイ「レガシー タイプS」。キャロウェイの大ヒットモデルであるレガシーの2代目で、アスリート向けに設計されたモデルだ。

11年前のクラブを迎え撃つ「エピックスピード」は3モデルラインナップされた2021年エピックのなかでも、前作までのサブゼロに相当するアスリート向けのモデル。アスリート向けドライバー対決、ということになる。

ちなみにエピックスピードはヘッド体積460ccなのに対し、レガシー タイプSは440cc。10年前にはすでに大型ヘッド化は進んでいたが、アスリート向けのモデルはやや小ぶりなヘッド形状を採用する、というケースも多く見られた。エピックスピードをはじめ、近年ではアスリートモデルでも460ccのモデルが一般的となりつつあるが、果たして試打結果はどうなるだろうか。

前者はロフト9度、純正シャフト「ディアマナ 50 for キャロウェイ」のSフレックス装着モデル、後者はロフト9.5度、シャフトは「モトーレスピーダーVC6.1」のSフレックス着用モデルを使用した。

まずはレガシー タイプSから。堀口の構えた印象を聞いてみよう。

「久々に10年前のドライバーを構えてみましたけど、クラシカルな塊感のある形状ですね。やはり最新モデルと比べると難しさを感じます」(堀口)

画像: 2010年発売のキャロウェイ「レガシー タイプSドライバー」

2010年発売のキャロウェイ「レガシー タイプSドライバー」

そのままレガシー タイプSの試打に入った堀口。結果の平均値は以下のようになった。

【堀口のレガシー タイプS試打結果】
キャリー226.3ヤード
トータル249.6ヤード
ミート率1.49
打ち出し角12.1度
ヘッドスピード41.5m/s
ボール初速62.1m/s
スピン量2923rpm

「打ってまず感じるのは芯の狭さですね。ナイスショットになる確率は比較的低くなってしまうのかなと思います。打感も硬く、スピン量もいつもの平均値より多めにかかっている印象です」(堀口)

続いて中村が試打するも、堀口と同様に「昔のクラブのシビアさ」を実感した様子。中村の試打結果の平均値は以下の通りだ。

【中村のレガシー タイプSの試打結果】
キャリー245.0ヤード
トータル259.5ヤード
ミート率1.49
打ち出し角12.2度
ヘッドスピード45.6m/s
ボール初速67.8m/s ス
ピン量4135rpm

中村も堀口同様に、スイートエリアが狭いことを指摘。飛距離に関してもピーキーさが色濃く反映されているという。

「飛距離平均は259.5ヤードですが、5球試打した中で268ヤード飛んだ球もあれば248ヤードの結果もありました。やはりスピン量も多めで、曲がりの幅も大きいように感じますね」(中村)

大きく違うのはスピン量と慣性モーメント

続いて、2021年モデルのエピックスピードだとどのような結果が出るだろう。レガシー タイプSと同じ振り感で5球打ち、平均値を出した。まずは堀口の結果から見てみよう。

画像: キャロウェイの2021年最新3モデルのうちの1つ「エピックスピードドライバー」

キャロウェイの2021年最新3モデルのうちの1つ「エピックスピードドライバー」

【堀口のエピックスピード試打結果】
キャリー240.0ヤード
トータル269.3ヤード
ミート率1.49
打ち出し角14.1度
ヘッドスピード42.8m/s
ボール初速63.7m/s
スピン量1608rpm

まずもっとも異なる結果が出たのがスピン量。レガシー タイプSでは約3000回転ほどかかっていたスピンが、エピックスピードでは1608回転とほぼ半分の数値に。

同じ振り感で試打してもらったのだが、ヘッドスピードは約1.3m/s上昇している。これについては「振りやすさが全然違うからですね。空力を考慮した設計であるか否かが結果として出ている気がします」と堀口。

それもあってか、キャリー・トータルともに20ヤードほど伸びた結果となったが、それ以上に大きく変わったのはやさしさだという。

「打感も柔らかくて芯も広いし、芯を外したとしても良い飛びなんですよね。大慣性モーメントによるやさしさっていうのは確実に感じます。10年分の進化というのもあって、一気に近未来に来た感じがありますね(笑)」(堀口)

中村も「エピックスピードのほうが構えた時の安心感もあって打ちやすいですね」という。試打結果の平均値は以下の通りだ。

【中村のエピックスピード試打結果】
キャリー260.5ヤード
トータル283.0ヤード
ミート率1.49
打ち出し角10.6度
ヘッドスピード46.7m/s
ボール初速69.4m/s
スピン量2466rpm

「スピン量がレガシー タイプSと比べてかなり抑えられていますし、曲がりの幅も少なく感じました。フェアウェイキープ率、ミート率も考えれば、ナイスショットの確率が高いのはエピックスピードだと言えるでしょうね」(中村)

1発の飛距離だけで考えるなら、レガシー タイプSもエピックスピードに迫る飛距離を出すことは「できるかもしれない」と中村は言うが、やはり昔のクラブのシビアさも相まって、平均飛距離は中村の場合も約20ヤードほど差が出る結果に。プロが打ってこの結果なんだから、アマチュアが打ったら平均飛距離の差はさらに大きく広がるだろう。

10年前と最新モデルを打ち比べた結果として、プロ2人が強く感じた大きな差は「スピン量と慣性モーメントによるやさしさ」だという。とくに堀口は「技術の進歩によって異素材の複合ヘッドが実現できたことはとても大きいのではないでしょうか」という。

「そもそも10年前には、ヘッドに異素材を入れるっていう発想自体がなかったですよね。レガシー タイプSもチタンクラウン・チタンボディ・チタンカップフェースです。それがエピックスピードをはじめとする最新モデルでは、チタンだけでなく様々な素材を複合して設計できるようになっています」(堀口)

素材にカーボンなどの軽量なものを採用することで、そのぶん投影面積を大きくしてやさしい見た目を実現したり、余剰重量をウェートとして配置し、重心距離・重心深度を調節することで低スピン性能であったり寛容性といった性能も高まっていった。2モデルともヘッド体積自体はさほど変わらないのに大きな差が出たのは、当然ではあるが10年分のテクノロジーの差というわけだ。

アマチュアの場合、つい「今日イチ」のショットで飛距離を判断してしまうこともあり進化を実感しにくいのかもしれないが、ドライバーの進化は日進月歩。古いモデルを使っている人が、自分にピッタリの最新モデルにチェンジしたら、平均飛距離がグンと伸びる、かも。

取材協力/Woo Golf

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