2020年シーズン「アーノルドパーマー招待」で米ツアー初優勝を挙げたティレル・ハットン。現在、世界ランク7位につける彼はミスをした後、怒りを露わにするのが特徴のひとつ。
終わったばかりの「オメガドバイデザートクラシック」でもハットンが怒りを露わにしている様子が、欧州ツアーの公式ツイッターで紹介されている。
左足下がりのラフからアプローチしたものの、キャリーが足らずグリーンカラー手前に落ちるとボールはそこにストップ。本来ならもう少し先に落とすつもりだったんだろう、怒りを露わにしていたハットンだったが、この後パターに持ち変えると、見事チップインバーディを決めている。
プロゴルファー・佐藤信人はこれを怒りをコントロールする「ハットンなりのやり方」だろうと話す。
「たとえばタイガー・ウッズはミスのあと感情を出すことをシステム化して、感情をコントロールしているといいます。ハットンはあえて怒りを出しているわけではなくて、本当に怒っているんだと思いますが、ハットンの特徴はクラブやコースに当たるのではなく、自分に矛先を向けるタイプ。実は彼の場合、デビュー当時から怒りを露わにしていて、当時はそれに対して否定的な意見もたくさんありました。しかし、2019年のトルコでの試合でもミスして怒った後冷静にチップインを決めるということがあり、そのあたりから感情コントロールがすごく上手くなったと思います」
ツアー9勝の佐藤自身は、怒っても感情を前には出さなかった。
「僕も凄い短気で、現役のときは自分のプレーにカッカしてたいましたが、怒りを露わにすると自己嫌悪もあってあまりいい方向にいきませんでした。なので、僕はなるべく感情を揺れないようにポーカーフェースをあえてやっていた。そこは人それぞれだと思います」
タイガー・ウッズはミスして怒りの感情が出てきても10秒は怒ってOK。その代わり、10秒後には切り替えるという風に決めているという。そういう選手もいれば、佐藤のようにあえてポーカーフェースを装う選手、ハットンのように感情を露わにする選手もいる。肝心なのは、次のプレーに引きずらないことで、そのやり方は選手によって違っていいと佐藤はいい。
「夫婦でも、お互い思ったことを言い合うほうがいいケースもあれば、我慢して平和を保つケースもありますよね」と佐藤。最後に、我々アマチュアゴルファーが“怒り”コントロールするためにするにはどうしたらいいのかを聞いてみた。
「ミスした後、なにかしら儀式を作るといいと思いますよ。たとえばミスしたら『太ももを叩く』とか『お茶を飲んで一息入れる』というように、自分の切り替えスイッチをシステム化すると、怒りをコントロールできるかもしれません」
短気は損気。ぜひ、お試しあれ。