こんにちは、ケンジロウです。アメリカのPGAツアーもハワイの2連戦を終え、いよいよアメリカ本土での試合がスタートしました。4月のマスターズに向けて本格的にシーズンが始まっています。
さて、今週発売中の週刊ゴルフダイジェストではそのPGAツアーで一世を風靡した丸山茂樹プロのアプローチレッスン記事を掲載しております。
丸山茂樹と言えば、まさにグリーン周りの天才、その多彩なアプローチの技で、アメリカの目の肥えたファンを沸かせてきました。もし当時、「ストロークゲインド・アラウンドザグリーン」のスタッツがあったら、おそらく毎年1位を取っていたのではないでしょうか。それぐらい常にあらゆる状況から“寄せワン”を拾っていました。
今回は、丸山が今までその多くを語ることのなかったアプローチの技術を、ゴルフダイジェストにたっぷり語ってくれました。誌面に書ききれなかった話をここでご紹介しようと思います。打ち方のベース、距離感の話、アプローチが上手い人の特徴など余すところなくお届けしますよ。
日本の選手はケビン・ナを目指せ
ケンジロウ(以下ケン):花道のノーマルな状況のアプローチで、打ち方の基本的なこと、丸山プロが気を付けていることを教えてもらっていいですか?
丸山(以下丸):まずはアドレスですよね。30ヤードぐらいのノーマルアプローチだったら、真っすぐ構えて、ちょっと腰をオープンにしてフェースは少し開き気味でハンドファーストにして構えます。そしてハンドファーストの角度を変えずに打ちます。
アマチュアの方に参考にしてほしいのは、腰を若干オープンにして左サイドにスペースを作ることによって、ストローク中に腰を切らずに打てるということ。手が前(飛球線方向)に行こうとせずに、体の回転と共にスペースの方向に手が抜けていきます。
ケン:距離感はどう作っているんですか?
丸:“振り幅”をしっかり練習することですね。とにかく自分の力加減をイメージして、腰から腰の高さで最初はどれぐらい飛ぶかを気にしないで打ってみるといいです。そして打った後に歩測して、キャリーとランを計ってみます。それが自然と距離感の基準になります。自分のリズムを想定して、打ち急いだり、ゆっくりしすぎないようにしたいですね。好きなリズムでいいと思います。
ケン:PGAの選手でアプローチが上手いと思うのは?
丸:タイガーは別格ですよね。あとはスティーブ・ストリッカー、バンカーは(KJ)チョイさんが上手かった。僕たちのときはね、あと(ホセ・マリア)オラサバルも。オラサバルはめちゃめちゃ研究しました。ウェッジとかも全部研究しましたよ。今でいったらアプローチはフィル君(ミケルソン)ですね。あとはジャスティン・トーマス、ヒデキ(松山英樹)、ケビン・キズナー、リッキー・ファウラー。やっぱりオープンにもシャットにも、どちらも両方使える選手がいいですよね。ケビン・ナも上手い。
ケン:彼は今年のソニーオープンで優勝しましたね。
丸:僕と同期ですからね。凄いですよね、もう何年向こうにいるんだろう。僕は日本人の選手はああいう風になってもらいたいんですよね。ケビンって本当は飛ぶんですよ。でもツアーの中では飛ばないとわかっているからこそ、アプローチパットを磨きまくっていた。
ケビンみたいな存在が日本人に向いているからこそ、ほんと彼を目標にしてほしいと思っています。他にはブライアン・ゲイとかね。ブライアン・ゲイなんかアプローチ死ぬほど上手いですから。知らないだけなんですよ、みんな。僕はマニアだから(笑)。ラリー・マイズとかよく真似しましたよね。フィニッシュで左手でクルクル回すのとか意味あるのかなとか思ってよくやってみたもんです(笑)。
ケン:丸山プロもその中の一人だと思いますが…。
丸:僕は向こうに行って、死ぬほど練習しましたよ。90年代の日本にいたころの僕のアプローチの打ち方って、日本の高麗芝に合った低く出してトントンキュっだったんですが、98年、99年ぐらいからこれじゃ無理だと思って、全部変え始めたんです。アンダースローでボールを投げるような柔らかい打ち方を必死で覚えました。これができないと海外の芝では通用しなかったんですよね。
パターも1メートルとか1.5メートルとかの練習を執着してやりましたよ。グリーンに申し訳ないと思うぐらいね。おかげでパーパットは死ぬほど入りました。もう何連続“寄せワン”したんだろう。アプローチ好きのプレーヤーは、必ず僕のサンドを見に来ましたよね。(ローリー・)サバティーニなんか必ず見に来た。凄く興味があったんだと思いますよ、僕のスピンに。多分、道具でスピンがかかっていると思っていたんじゃないかな。