アイアンのストロングロフト化にともない生じた「ピッチングの下になにをいれるべきか問題」。クラブフィッター・菅野崇氏は言う。
「アイアンセットのピッチングウェッジのロフト角を調べて4度刻みにウェッジを入れていく、というのは定番の選び方です。もちろんその選び方で不正解ではないのですが、僕はストレスなく打てることを前提に、自分の必要な距離を打てるロフト角を選ぶことをオススメします」(菅野、以下同)
ピッチングが44度だった場合、セオリー通りの4度刻みならウェッジは48度。だが、それで狙った距離が打てなかったら意味がないというわけだ。
「44度のピッチングウェッジで110ヤード打てていた場合は、48度で100ヤード打ちたいですよね。だけど、同じロフトでもアイアンセットのピッチングウェッジと単品ウェッジの48度では飛距離の差があります。そのため、単純に『4度刻み』が最善じゃない可能性も十分にあるんです」
飛び系と呼ばれるアイアンはソール幅の広い低重心設計になっているケースが多い。一方の単品ウェッジは高重心でスピンがかかる設計になっていることが多いから、同じロフトでも飛距離差が生じるケースがある。
「ウェッジのロフト選びで大事にしてもらいたいのは目的です。仮に100ヤード打つクラブが欲しいのであれば、46度、50度、52度とロフト角はなんでもいい。100ヤード打てるロフトはゴルファーによって違いますから、それを把握して選ぶことが重要だと思いますよ。その際は工房でロフト角やライ角の調整できる軟鉄製のウェッジを選んでおくといいかもしれません」
ウェッジ選びはロフトピッチばかりに目がいくが、大切なのはあくまで打ちたい距離が打てるかどうか。振りやすく、扱いやすいかどうかだ。ピッチングウェッジの下に1本足したいケースが増えてきたからこそ、覚えておきたい。