2021年に発売される最新モデルドライバーのなかでも、テーラーメイド「SIM2」とキャロウェイ「EPIC」シリーズの注目度は高い。ただ、両者とも3モデルずつがラインナップされているから悩ましい。ゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが各モデルのポイントを紹介する。

SIM2シリーズは「つかまり具合」で選ぶ

新製品が発売されるこの時期、毎年のことではあるが、今年もギア好きゴルファーの関心は高い。その中でも特に注目されているテーラーメイドとキャロウェイのドライバーについて、購入を検討する上で、各モデルのポイントを紹介したい。

画像: テーラーメイド「SIM2」シリーズとキャロウェイ「EPIC」シリーズ(ともに2月19日発売予定)

テーラーメイド「SIM2」シリーズとキャロウェイ「EPIC」シリーズ(ともに2月19日発売予定)

まずはテーラーメイド「SIM2」シリーズから。ヘッド後方に鍛造アルミを採用し、フェース一体型のボディと、クラウン部とソール部の2箇所カーボンによる4つのパーツで構成される溶接レスのヘッドは、たしかにこれまでの常識を変えるような新しい構造だ。

一方、構造自体は大きく変わったといえるが、その性能自体は、大変好評だった前作「SIM」シリーズのバランスの良さを継承している。画期的なテクノロジーを搭載したモデルほど、クラブ全体のバランスが悪くなることもあるが、今回の「SIM2」に関しては、クラブ全体で良いまとまりができているのだ。

前作と最も違うのは「SIM2 MAX-D」だろう。前作「SIM MAX-D」は他の2機種と形状の雰囲気もやや異なり、スピン量も多めだったが、今回はシリーズらしく3機種の形状の印象は揃っている。選ぶ側としては、「SIM2」と「SIM2 MAX」、あるいは「SIM2 MAX」と「SIM2 MAX-D」などと、2モデルでの比較検討が行いやすくなった。

画像: テーラーメイドの2021年最新ドライバー「SIM2」(左)、「SIM2マックス」(中)、「SIM2マックスD」(右)

テーラーメイドの2021年最新ドライバー「SIM2」(左)、「SIM2マックス」(中)、「SIM2マックスD」(右)

構造が変わったこともあり、打感・打音にも変化が見られるが、適度な弾き感と金属音を持ち、概ね好ましくなったと言えるのではないだろうか。特に「SIM2 MAX」の音の変化は印象的だ。前作は、乾いて締まった音が特徴的だった。この辺は好みもあるところなので、できれば野外で打ってチェックしたいものだ。

「SIM2」3機種は、基本的に近しい構造と性格でシリーズとしての統一感が感じられる。もっとも左にいきにくい「SIM2」から、もっともつかまりのいい「SIM2 MAX-D」まで、段階的に特性を変えている。選びやすさという点ではわかりやすい。

エピックは3機種それぞれ個性的

一方、おなじみの“2本の柱”がフレームになった「ジェイルブレイク AIスピードフレーム」がキーテクノロジーのキャロウェイは、3機種それぞれの個性が強い。「エピックMAX」は、安心感のある丸っこい形状で寛容性も高い。これまでこのタイプのヘッドは、ボールが高く上がってスピン量も増えやすい傾向があったが、今回はスピンがそれほど多くないのが特徴だ。これまでたとえば「スター」と名のついたヘッドを使っていた人は、飛距離が伸びる可能性があるだろう。

「エピックスピード」は、昨今のドライバーのトレンドの中ではやや異質な存在に思える。構えたときにスッキリとしていて、取り回しの良さを感じるヘッドだ。大慣性モーメントの大型ヘッドにありがちな右にすっぽ抜けるミスが出にくいかわりに、ある程度の技術がなければ球筋はバラけそうな感じもある。スピンは少なく、振り切りやすいので、いかにも飛びそうな1本だ。

「エピックMAX LS」は、その名の通り低スピン性能が高いヘッドだ。普段からスピン量が比較的少なめの筆者には、ほとんどボールが上がりきらないほどだった。パワーがあって普段からスピン量が多い人、ライナー性の弾道を好む人向けと言えるだろう。海外のサイトでは昨年の「マーベリック サブゼロ」のほうが低スピンという評価もあるようだが、その意見にはとても賛同できない。

画像: キャロウェイの2021年最新ドライバー、エピックマックス(左)、エピックマックスLS(中)、エピックスピード(右)

キャロウェイの2021年最新ドライバー、エピックマックス(左)、エピックマックスLS(中)、エピックスピード(右)

良し悪しは別として、計測器で比較すると、低スピン傾向の強いキャロウェイの3機種のほうが飛距離はやや出そうな雰囲気がある。一方、テーラーメイドの3機種も基本的には低スピン系で、前作に比べて飛距離もさることながら安定感が大きく増している。飛びのキャロウェイ、安定のテーラーメイドなどと言ってしまうと、やや大雑把すぎる批評になるが、打ち比べるとそうした印象を持つゴルファーも少なくないのではないか。

そして蛇足になるが、日本では「SIM2」と「エピックMAX LS」が、店舗限定販売になるのもポイントだ。取扱店自体は数百店あるので購入には問題ないが、この2機種はほとんど値引きをしないという情報がある。昨年あたりから、一時は他店対抗などと標榜していた量販店でさえ、クラブの値引きに消極的になってきている。今年の2モデルに関しては、その流れをさらに押し進めるものだ。この2機種を買うゴルファーは、お金に糸目をつけないコアユーザーが多いということかもしれない。

カスタムシャフトを装着すると、両モデルとも税込みで10万円を超える価格になるので、ほぼ値引きがないとなると、購入費用もそれなりに高価なものになってしまう。既に両者のシャフトが手元にあり、ヘッドだけを入手したいコアユーザーは、よりお買い得感のある並行輸入物に殺到する可能性がある。購入を検討している人は、早めに動いたほうが良さそうだ。

この2社に加え、昨年既に発売されているピン「G425」とタイトリスト「TSi」、そして先だって発表されたコブラの新モデル「RADスピード」と、海外ブランドの完成度はいずれも高い。うまく自分のゴルフに取り入れたいところだ。

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