知り合いから譲ってもらったお下がりクラブや、ドライバーからパターまでを一通り揃えたお買い得なクラブセット。ビギナーゴルファーがよくお世話になるこれら“初めてのセッティング”から卒業し、新たなクラブに買い替えるタイミングはいつがベストなのか? 業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人に教えてもらおう。

“そこそこ当たるクラブ”が1本できたら、買い替えを考えてみよう

みなさんこんにちは、ギアオタク店長の小倉です。私が勤務している場所は練習場の中なのですが、最近初心者の方が一生懸命練習している姿をよく見かけます。

20代の方が多いように感じますが、私と同年代(40代)の方も結構いらっしゃって年齢に関係なく、ゴルフを楽しんでくれている方が増えるのはとても嬉しく思います。そういった方々がより長くゴルフを楽しんでもらえるように色々な情報や知識をお伝えしていくのが私たちの役目かな~なんて勝手に思ったりしている今日この頃です。

さて、そういった初心者の方々は大抵スターターキットと呼ばれるキャディバッグを含めたオールインワンセットを使っていたり、知人や親族から譲り受けたいわゆる“お下がり”のクラブを使っていることがほとんどです。

私の個人的な考えですが、ゴルフクラブに振り慣れるまでは頂いたもの、安く買いそろえたものをなんとなく使い続けても良いでしょう。もちろん、たとえば体力のある若いゴルファーのバッグに超軽量かつ軟らかいシャフトを組み合わせたドライバー、あるいは本人の力に対して過剰にハードなスペックのアイアンなど、よほど本人の体格とかけ離れたスペックを使っていなければですが。

というのも、ゴルフの上達にはまずモデルがどうこうより、ゴルフクラブという特殊な道具に慣れることが最優先です。手で握るグリップ部分の延長線上にボールを打つフェース面がない道具なんて日常生活の中にはまず存在しませんし、しかも先端が曲がっていて、地面に置いてあるボールを飛ばすんですから、結構な”慣れ”を必要とするんです。

画像: ビギナーが初めて手にしたセッティングから卒業し、新たなクラブを買い替えるのはどのタイミングがベスト?(撮影/小林司)

ビギナーが初めて手にしたセッティングから卒業し、新たなクラブを買い替えるのはどのタイミングがベスト?(撮影/小林司)

ただ、そういった“大きな問題はないけど自分にピッタリとは言えない”クラブを長く使い続けていると本来自分が持っている飛距離のポテンシャルが発揮しにくいですし、スウィングに必要のないクセが付いてしまう可能性が高まります。

では初めてのクラブセットからの卒業タイミングは、いつ頃が良いのか。個人的には、どんなクラブでも良いですから1本だけでもそこそこフェースでボールをとらえられて適度にボールが上がり、前に飛ばせるようになったら考えるべきだと思います。そして、“そこそこ当たるクラブ”がアイアンならアイアン、ウッドならウッドといったように、同じジャンルのモデルをショップなどで試打してみることをオススメします。

上手く打てないクラブからではなく“そこそこ当たるクラブ”から替えたほうが良い理由は、そもそもボールにある程度の精度で当てられない=まだ振り慣れていない可能性があるからです。そもそもボールに当たらなければモデルチェンジしても結局良し悪しが分からない。でも“そこそこ当たる”のなら、より自分に合うモデルも見つけることができます。

そしてどのモデルを選ぶべきかは、自分がこの先どんなゴルフをしたいか? によって変わります。スコアは追求したいけど、できるだけ楽にプレーしたいというならいわゆるミスに強いと言われるアベレージ向けのモデルを。将来的にはシングルを目指したい、技術的にも上手くなりたいと考えるならややアスリート向けのモデルを選ぶと良いと思います。

そして買い替える際、特に気を付けたいのがクラブの重量。軽すぎ、重すぎのクラブを使っていると安定したショットを身に付けるのが難しくなります。20~40代の一般的な男性であれば、ドライバーは290~305グラムぐらいの中から、アイアンは7番で405~420グラムぐらいを基準にしてもらえれば良いかなと思います。

もちろんこれは個人的な意見ですので、試打してみて確実に当たるクラブがあったとか、コーチなどの考え方によってこの範囲ではないモデルを選んでも構いません。詳しい知り合いが周りにいたり、レッスンに通っているという方は、そういったゴルフの熟練者の方に判断してもらうのも有効です。

そもそもゴルフクラブは基本的に自分が一番信頼できるクラブであることがもっとも重要で、そういったクラブが一番当たります。満足いく結果が残せているならずっとそのままのクラブでやるのもありでしょう。

ゴルフは他のスポーツより長い距離を狙っていかなければならないので道具の差は大きく結果を左右します。だからこそプロや上級者は、細部にまでクラブにこだわる方が多いのです。「自分はまだまだ下手だからクラブは何でも一緒~」ではなく、上手くなりたいならこそ自分に合ったクラブを探すべきだと私は思います。

This article is a sponsored article by
''.