世界ランク1位のダスティン・ジョンソン(以下DJ)の使用クラブはテーラーメイドの「SIM」。ロフトは10.5度(10度に調整)で、シャフトのフレックスは60グラム台のXだ。昔はDJのようなハードヒッターというと、7度台、8度台のロフトにシャフトも70グラムや80グラムのXXとかTXといった超ハードなもの……というイメージがあるが、時代は変わった。
こうなってくるとDJのスペックと一般ゴルファーのハードスペックを好む人のスペックがほぼ同じなんてこともあり得るが、「ハードすぎるスペックを選ぶことはスライスの度合いを悪化させる可能性がある」とクラブフィッターでスウィングコーチの関浩太郎はいう。
「アマチュアゴルファーの方でヘッドスピードが速い方は、とくにシャフトにハードスペックを求めがちですよね。それでボールをつかまえられるならいいのですが、硬いシャフトはしなり戻りが少ないため、ボールがつかまりにくく、結果、スライスに苦しむケースがあります。ヘッドスピードが速くても、そういう人にはXシャフトよりSシャフト、場合によってはSRやRのほうが、インパクトの前にしなり戻りがくるのでスライスがなくなる可能性があります」(関、以下同)
ロフト選びにも同じことが言える。
「ロフトはボールの高さをコントロールするだけではなく、つかまりにも影響します。基本的にロフトが寝ていると左に飛びやすくなって、立っていると右に飛びやすくなりますから、ヘッドスピードが速くても右に打ち出してしまうゴルファーは10.5度などロフトが寝ているものを使うことをオススメします」
そして、そんなゴルファーの参考となるのがまさにDJのセッティングだ。
「DJは完全なるフェードヒッターですから、ストレートから左に打ち出したいと考えるはずです。彼のスウィングはフェースを閉じたまま使ってハンドファーストなインパクトを迎えるのが特徴。ですから、インパクトではロフトがアドレス時より4~5度ほどは立って当たります。だからこそDJは彼にしては多めの10度のロフトを使用しているんだと思います。自分の打ちたい球筋と、スウィングの特徴に合わせたスペック選びは、アマチュアゴルファーの方の参考になると思いますよ」
ヘッドスピードが速くて飛距離が出るのにここ一番のスライスが直らない!というゴルファーは、もしかしたらスペックがあっていないのかもしれない。試しに一度柔らかいシャフトを試してみると、意外な発見があるかも。