同じ硬さ“S”でもブランドが違えば硬さが違う!?そもそも、なぜ硬度表示がされているのか
みんながクラブ選びの指標にしているシャフト硬度だが、これは業界全体で一定の基準があるわけではなく、メーカー各社がそれぞれの解釈、測定方法で自由に表記しているのが現状だ。
例えば、ダンロップの「硬度S」とピンの「硬度S」が違っていてもなんら不思議はないし、もっといえば、同じダンロップでもゼクシオの「硬度S」とスリクソンの「硬度S」ではその硬さに違いがある。
同じメーカーの中でもブランドによって硬いSや軟らかいSがあるのである。こうしたことはゴルフを始めたばかりの人には、非常にいい加減に見えるはずだ。
そこで自分に合ったゴルフクラブを選ぶための基礎知識として、まずはゴルフクラブのスペック表記の“目的”について知っていただきたいと思う。
あくまでも原則としてだが、シャフトに「R」、「SR」、「S」などと硬度表示がされているのは、『同一モデル内での硬さを区別するため』である。
例えばゼクシオ イレブンの「R」、「SR」、「S」なら、単純に専用シャフト内での硬度種別を「R(標準)」、「SR(標準よりもやや硬め)」、「S(標準より硬い)」と書いているに過ぎない。
もちろん、これはスリクソンZX5でも同じ。「R」、「SR」、「S」はそのヘッドに装着された同一銘柄シャフト内での硬さの段階であり、ゼクシオにはゼクシオの「R(標準/レギュラー)」があり、スリクソンにはスリクソンの「R」があるということ。
これはシャフト単体で買えるツアーAD(グラファイトデザイン)やディアマナ(三菱ケミカル)、ベンタス(フジクラ)といったシャフトメーカーのシャフトでも同じである。ブランドやモデルが違えば硬度感は異なるし、同一モデルでも重量帯によって硬さが変わる。60g台のSと40g台のSでは、重たい方が「硬く感じられる」のが普通なのだ。
ゴルファーを混乱させているのは、ゴルフメーカーでさえ、この「R」、「SR」、「S」という単なる同一モデル内での硬度表示を対象ゴルファーの区別のために使っているフシがあること。「R(普通のヘッドスピードの人向け)」、「SR(やや振れる人向け)」、「S(振れる人向け)」と考えて使い分けているケースも多いのだ。
このことはアスリート向けモデルで、ハナから「R(レギュラー/標準)」の選択肢がなかったりすることからも明白だ。そうすることで、“このモデルは軟らかいシャフトはありません。基本的に振れる人向けです”と言っているわけである。
ある時は同一モデル内での硬さ表記として。またある時は対象ゴルファーの差別化ために。世の中にはさまざまな役割、思惑をもった「R」や「S」があるということになる。そんな感じであるから、「俺はSシャフトだ!」と頭から決めてかかるのは危険だし、もったいないのだ。
同じシャフトでも長さや装着するヘッドの特性によって振り心地はまったく違ってくる、打球結果も変わってくる。ゴルフクラブは常に自分で打ってみて、結果が良いモノを買うのが正解。自分が軟らかいと感じたら、それはS(STIFF/硬い)と書いてあってもSではない。シャフト硬度など単なる記号だと思って、常に新しい気持ちでいろいろな硬さのものを試打してみていただきたい。