プロギアから「RS Fプロトタイプ」が2モデル発表されたが、そもそもプロトタイプってなにが違うの? アマチュアゴルファーも使える? ゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロがわかりやすく解説した。

プロギアから「RS Fプロトタイプ」が発表になった。これはプロパーモデルの「RS5」シリーズをベースにプロ用に作られたヘッドで、直営店やイベントのみで扱う数量限定のカスタムモデルだ。

実際、小平智が昨年まで試合で愛用するなど、契約プロの大半はプロパーモデルではなく、こちらのタイプを使用している。実はすでに「RS5」発売前から、R&Aの適合リストに掲載されていたこともあり、発売はしないのか気になっていたギアマニアもいるかもしれない。

ヘッドは、洋ナシ形状の♣(ワンクローバー)と丸型の♣♣♣(スリークローバー)と呼ばれる2機種(※正式表記は四つ葉のクローバー)。ロフト角は10.5度のワンロフトで、ヘッド重量は標準で204gとかなりの重量級。ヘッド体積は445ccとプロパーモデルの460ccよりも小さくなっている。各ヘッド400個限定になるという。

画像: 写真左が「RS Fプロトタイプ♣(ワンクローバー)」、写真右が「RSFプロト♣♣♣(スリークローバー)」(写真提供/PRGR)

写真左が「RS Fプロトタイプ♣(ワンクローバー)」、写真右が「RSFプロト♣♣♣(スリークローバー)」(写真提供/PRGR)

なぜ、こうしたモデルが登場するかというと、一般的アマチュアゴルファーに向いているヘッド性能と、プロが求めるヘッド性能には決して小さくない違いがあるからだ。実際にプロギアのモデルを例に取ってみると、ボールのつかまり度合いの指標になる重心角の数値は、プロパーモデルの「RS5 RS」が31度に対して、この「RS Fプロトタイプ」はなんと20度だ。これは市場に出ているドライバーの中でもかなり小さい数値になる。

アウトサイドイン軌道でスライスする人が大半を占めると言われるアマチュアにとっては、ボールがつかまることは大きなメリットがある。一方、目をつぶってでもボールをつかまえて強い球を打てるプロにとっては、過度のつかまり性能が邪魔になる場合が少なくない。彼らは左へのミスを極端に嫌う。

ボールのつかまり度合いだけでなく、スピン量や操作性、ミスへの寛容性や球の高さなど、プロが求める性能とアマチュアにとって恩恵のある性能は、当然のことながら大きく異なる。考えてみれば当たり前の話で、プロが使うクラブと一般のアマチュアが使うクラブが同じであること自体、無理がありそうだ。だからこそ、「RS Fプロトタイプ」のようなヘッドが登場する余地があるというわけだ。

以前から同様のスタイルを採用しているのが、キャロウェイだ。販路限定のキャロウェイエクスクルーシブ商品として、プロ仕様のヘッドを限定販売している。石川遼が使用して2勝をあげた2019年の「エピックフラッシュサブゼロ◆◆◆(トリプルダイヤモンド)」が特に有名だが、他のモデルも即日完売するほど人気がある。今季の新製品「エピックスピード」にも、すでにプロ用ヘッドがR&Aの適合リストに載っており、おそらく例年通り限定発売する可能性は高いのではないだろうか。

画像: キャロウェイ「エピックフラッシュサブゼロ◆◆◆(トリプルダイヤモンド)」

キャロウェイ「エピックフラッシュサブゼロ◆◆◆(トリプルダイヤモンド)」

プロ用のプロトタイプヘッドを作るということで言えば、国内メーカーの方が数は多いかもしれない。これはドメスティックな日本のゴルファー向けのクラブの性能と、プロが求める性能には小さくない差があるためだろう。これらはあまり発売されることもないのだが、最近ではダンロップから「スリクソン ZX7 440」というプロパーモデルよりも小ぶりで、ディープ形状のヘッドをダンロップフィッティングストア限定販売している。

もっとも、テーラーメイド「SIM2」やタイトリスト「TSi」、ピンの「G425」などはこうしたプロ用ヘッドが存在せず、ツアープロも市販品と同じものを使用している。重量やロフトなどのスペック、反発係数などをシビアに管理している違いはあるが、基本的には同じものだ。もし、プロが使っているヘッドに性能的な違いがあれば、R&Aに新たに申請する必要があるが、適合リストには今のところプロパーモデルしか掲載されていない。

これは、メーカーの方針もあるだろうが、対象ユーザーとプロが比較的近いということも言えるだろう。「SIM2」や「TSi3」、「G425LST」といったモデルは、ヘッドスピードが速く、自分でボールをしっかりとつかまえられることができる、アマチュアの中でも比較的限られた中上級者が対象になる。もちろん彼我には技術的に大きな差があるわけだが、双方が使用できる範囲に収まっているということだろう。

使いこなせるかどうかは別として、プロ用の特別なヘッドが限定販売というと、どうしても興味を惹かれてしまうものだ。取扱店は少ないし、価格もかなり割高だが、まずは試してみたくなるモデルと言えそうだ。

画像: ミスなく寄せるなら“ドロー”がおすすめ!?アプローチ の達人・伊澤秀憲が実演レッスン youtu.be

ミスなく寄せるなら“ドロー”がおすすめ!?アプローチ の達人・伊澤秀憲が実演レッスン

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