ウェッジのフェース面やソールをミルド加工するモデルは今や定番となっているが、なんとヘッド1個丸々を鉄の塊からフルミルド(完全削り出し)してしまったウェッジが、自動車部品の金型メーカー、エムエス製作所が手掛ける「MUQUウェッジ」。
そもそもの話、そのメリットとは何なのだろうか。プロゴルファー・中村修はこう解説する。
「メーカーに話を聞きましたが、削り出しの過程で人の手が介入すると多かれ少なかれ生じる製品ごとの誤差が、機械によるフルミルドならないんだそうです。フェース面、ロフト、ライ角の精度がものすごく高くなり、設計と寸分違わぬ仕上がりになるのがメリット。さらに、精密加工によって打感・スピン量も良くなるみたいですね」(中村、以下同)
そして、その最上位モデルである「クラフトアートデザイン」のモデルは、なんと36万円(税抜)! ウェッジセットどころか、クラブセット一式も揃ってしまうようなお値段となっている。通常のウェッジとはまさしく“桁が違う”高価格だが、その性能はいかがか。さっそく中村に試打してもらおう。
試打クラブのロフトは56度。シャフトはダイナミックゴールドS200で、ボールはタイトリスト「プロV1」を使用して試打を行った。
36万円のMUQU「アートクラフトデザインモデル」は素材にS25Cを使用。試打結果を見てみると、80ヤードくらいの距離を打って9500~11000回転で安定。ややフェースを開き、約40ヤードの短めの距離でも9000~9500回転としっかりスピンがかかるという結果になった。
中村は「スピン性能、打感に関してはいうことがないほど良い出来です」と漏らす。
「打感は非常に柔らかく、吸い付く感じがありましたね。フルミルド独特の打感なのか、フェースのどこに当たっているのかが明確にわかりますし、ボールの感触が手に伝わってくるような印象があります。ロブショットを打つイメージでガッツリフェースを開いても、8000回転前後スピンがしっかり入っていました。オーソドックスな形状なのですが、やはりお値段がするだけあってそもそもクラブ自体の性能が高いですね」
打感は主観的なものではあるが、スピン量が極めて多いのは試打結果から明らか。また、「パターみたいにカバーを付けて使用したいと思わせる高級感がありますね」と中村。
ウェッジ1本に36万円。一般的な相場と比較すればかなり値は張るが、これで完璧な寄せが決まるなら安いもの!?