9番アイアンの飛距離の2番がドライバーの飛距離の目安……そんなかつての常識は今でも常識なのか。2016年に栃木県のアマ4競技(県アマ、県知事杯、社会人アマ、県ダブルス)を制覇したトップアマ、佐野市にあるゴルフショップ「アフターゴルフ」店長の佐藤順氏に話を聞いた。
「以前からロフトの立ったストロングロフトのモデルは存在しましたが、アイアンの進化が進んだことで、ここ5年くらいで急速に普及してスタンダートになって来ています。私も表示では9番で38度、PWで43度のモデルを使っていますが、今では9番の2倍ではなくPWの2倍の距離がドライバーの飛距離の目安と言えると思います」(佐藤)
昔から同じロフト設定のアイアンを使い続けていることで知られるタイガー・ウッズの9番アイアンのロフトは45度。佐藤氏のピッチングアイアンのロフトは43度だから、1番手半ほど番手がずれていることになる。まさに昔9番、今PWといった感がある。
「PGAツアーでは、9番で150ヤード飛ばすプロたちがドライバーでは2倍どころから320ヤード、340ヤードと飛ばしていますが、アマチュアの場合はPWの2倍がドライバーを目安にするのはアリだと思います。飛ぶアイアンを使うことで、力まずに打てますし、ゴルフが楽になりますから」(佐藤)
昔のアイアンと今のアイアンのロフトだけに着目すると番手がズレているだけに感じるが、最近の飛び系アイアンは同じロフトでも古いモデルに比べてボールが上がりやすく、ミスにも強い。トップアマである佐藤氏が「飛距離を一度手にしてしまうと戻れない」と飛び系アイアンを利用するのもそこに理由がある。
タイガー・ウッズのようなパワーもスウィングもない我々アマチュアゴルファーは、多かれ少なかれ飛びの要素を含んだアイアンのほうがゴルフをラクにできる可能性が高い。
ボールやクラブの進化により、それまで常識だったことが新たな常識にアップデートされていく。クラブの番手、ロフト、そして飛距離の関係性もそのひとつ。「9番アイアンの飛距離の2倍がドライバーの飛距離の目安」「7番では150ヤードを打つ」といった固定概念や番手の数字に縛られることなくプレーするのが、今の時代の新たな“常識”なのかも。