ミケルソンは有名プロを招きロッカールームなどで自らインタビュー。相手の素顔を発掘しSNSで発信するほど話が上手い。ユーモアのセンスも抜群で20年の全米プロにゲスト解説としてCBSテレビの中継に参加したときは、圧倒的存在感と話術で完全に主役の座に収まった。
シニアの競技に出ればデビューから2戦2勝と百戦錬磨だがレギュラーツアーでは19年のAT&Aペブルビーチでツアー通算44勝目を挙げてからトップ10入りはわずか2回。キャリアグランドスラムがかかった昨年9月の全米オープンでも予選落ちとかつての輝きを失っている。
そんななか急浮上しているのがゴルフ解説者の道。アマチュア時代にプロの試合で優勝。メジャー5勝を挙げているミケルソンは、大御所なのに気取らずフレンドリー。
親指を立ててファンにサインを送るスタイルは50年代、60年代に全米を熱狂させたアーノルド・パーマーを彷彿とさせ、老若男女問わず人気が高い。しかも巧みな話術をあわせ持つのだからテレビ界が放っておくはずがない。
ミケルソンの代理人スティーブ・ロイ氏は「今後1、2年以内にフィルが放送に登場する機会が増えるとしても驚かないでしょう」と意味深な発言。
獲得に乗り出すと思われるのが主要放映権を持つCBSとNBC、さらにESPNも名乗りを上げると予想される。しかし問題も。
事情に詳しい関係者によると「問題はミケルソンが提示している契約金の額」だという。「彼が望む金額をどの放送局が支払えるのか? 現段階では天と地の差がある。そしてもし彼を呼べたとしても年間何試合仕事をしてくれるのか? 放映サイドとしては年間少なくとも10試合以上、20試合程度は解説して欲しいと思っているはずだが、それにミケルソンがイエスというかどうか?」
プロデビューから来年で30年。ミケルソンもキャリアの節目を迎えているようだ。
ちなみに現在CBSのメイン解説はニック・ファルド、NBCはポール・エージンガーとジャスティン・レナード、ESPNはカーティス・ストレンジが務めているが、現役時代は気難しくレナードを除いて饒舌なタイプではなかったというのも面白い。