いまやゴルファーのバッグに欠かせない存在となったユーティリティに、小さな変化が起きている。それは、ヘッドサイズの選択肢の増加だ。大型から小型まで、豊富なサイズが選べるようになってきた背景は? ゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが分析する。

ちょうど1年ほど前になるが、ウッド型UTのさらなるウッド化とも言うべき傾向が加速していることを指摘した。平たく言うと、ウッド型のヘッド体積がどんどん大きくなり、結果として、7番ウッドや9番ウッドといったショートウッドにより近くなっているのだ。

この傾向は現在も続いていて、たとえば昨年秋に発売されたピンの「G425ハイブリッド」は125cc(22度)、ヤマハ「インプレス UD+2」は126cc。先だって発売になったホンマゴルフ「ツアーワールド GS」のUTは、130ccだった。かつてのショートウッドと同等か、大きいくらいのヘッドサイズだ。

しかし、2021年の新製品を見てみると、やや揺り戻しの傾向と見られるところもある。テーラーメイドは、昨年スマッシュヒットとなった「SIM MAXレスキュー」の後継モデルとして、「SIM2 MAXレスキュー」を発売したが、さらにカスタムメイド対応のセレクトフィットストア限定モデルとして「SIM2 レスキュー」をラインナップに加えた。

「SIM2 レスキュー」は、3Uで100ccというヘッド体積以上にコンパクトに見え、トウが高くなっていて、よりアイアン的に打つことが出来そうな形状だ。実はこの小ぶりなタイプのウッド型UTは、以前にもテーラーメイドで断続的に発売されていたのだが、「M3 レスキュー」を最後にラインナップから外れてしまっていた。その意味で今年は、限定商品とすることで、あらためて復活した格好だ。

画像: テーラーメイド「SIM2 レスキュー」

テーラーメイド「SIM2 レスキュー」

ウッド型UTの巨大化を進めていたメーカーのひとつが、キャロウェイだ。2019年に発売されたチタン製UT、「スーパーハイブリッド」は、ひときわ大きな143ccというヘッドだった。昨年モデルの「マーベリック」は122cc(20度)、上級者モデルの「マーベリック プロ」でも113cc(20度)で、以前よりもずっと大きくなっている。

ところが、2021年モデルはテーラーメイドと同様に、小ぶりでシャープなウッド系UT「APEX PRO」をキャロウェイセレクトストア限定で発売する。このモデルはロフト角20度で100cc、23度では98ccとこれまでのヘッド巨大化に逆行するようなモデルだ。

「SIM2 レスキュー」や「APEX PRO」は、ロングアイアンのように使える操作性がありつつ、それでいてボールが上がりやすいという中上級者向けモデルだ。そうしたニーズには現在もアイアン型UTがあり、両メーカーとも「SIM DHY」や「SIM UDI」、さらには「X フォージドUT」など、世評の高いモデルを揃えている。つまり、これらの小ぶりなウッド型UTは、やさしい大きなウッド型UTよりもシャープさが欲しいが、かと言ってアイアン型UTは苦手で、多少はウッド系のやさしさが欲しい人という、ピンポイントの層がターゲットだ。

画像: キャロウェイ「APEX PRO」

キャロウェイ「APEX PRO」

これは何が起きているかと言うと、ニーズによってUTのモデルが細分化しているということだ。一時期廃れていたアイアン型UTのラインナップが各メーカーから増えているが、それに加え、操作性の良い小ぶりなモデルや大型でよりやさしいモデルなど、ウッド型UTにも大きな性格の違いが出てくるようになった。

この現象は、すでにアイアンの領域で起きていることだ。激飛び系からマッスルバックまで、飛距離や打感、操作性など、より細やかなニーズに対応するため、現在の各メーカーのアイアンラインナップは非常に数が多くなっている。同様の現象が、UTのカテゴリーでも起きつつあるというわけだ。

さらにウッド型、アイアン型を問わず、より飛距離を重視したモデルとスピン性能や操作性を重視したモデルがはっきりと分かれてきている。これらのモデルは、同じロフト角であっても飛距離や球質が大きく変化する。このへんもアイアンと同じ傾向だ。

というわけで、UTの選択はより難しく繊細なものになりつつあるが、一方で選択肢が増えたことを上手く活かして、自分が求める性能にマッチするものを選びやすくなったといえる。クラブの特性を自分なりに掴んで、より好ましいクラブが選べる力が求められているのだ。

画像: 超貴重映像!室伏広治のアイアンショット youtu.be

超貴重映像!室伏広治のアイアンショット

youtu.be

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