ベンタスブラックとテンセイホワイトを試打!
試打したのは、フジクラ「ベンタスブラック」、三菱ケミカル「テンセイプロホワイト1K」の2モデル。PGAツアーで活躍する選手たちから多くの支持を集めているシャフト。今までは海外のみでの展開となっていたが、ついに日本発売が決定したモデルたちだ。
さっそく2モデルの性能をプロゴルファー・中村修と堀口宜篤に確かめてもらおう。なお、試打では2モデルともシャフト長45.5インチで、50グラム台Xフレックスのスペックに統一。ヘッドはピン「G425マックス」を使用した。
プロがマン振りしても左へのミスが怖くないベンタスブラック
まずはベンタスブラックから。以前から日本展開されていた兄弟モデル「ベンタスブルー」は先端部の剛性を高めることで叩いていけるのが持ち味だったが、ブラックでもそれは同様。違うのはキックポイントで、ブルーは中元調子なのに対しブラックは元調子。ブルーで剛性を抑えしなりが入るように調整されていた箇所も硬くしたハードヒッター仕様だというが、実際の振り心地はどうだろう。
まず堀口は「ダウンスウィング時にシャフトのしなり感やヘッドが走ってくる感覚はないですね。どちらかというとブレがなくて、自分でタイミングを取って振るタイプのシャフトでしょうか」と印象を語る。
やはりプロに好まれるだけあって、Xフレックスであることを鑑みても硬さとしっかり感はかなりある様子。「ベンタスブルーと比べても硬めで、しっかり振っても左に引っかけるようなことはなさそうですね」と堀口。
中村も「自分の力で思い切り振れる方向けと言えるでしょう。ブレも少ないですし、スピン量も適度に抑えてくれる。まさに『マン振りしてください』という性能のシャフトに仕上がっています」という。両者とも、PGAツアーから人気を博すのも納得のしっかりめなシャフトだと評価した。
先端部の剛性が高く切り返しで粘ってくれるテンセイホワイト
続いてはテンセイプロホワイト1K。キックポイントは既に日本で発売済みの「テンセイCKプロオレンジ」と同じく元調子だが、オレンジが振り抜きの良さを重視していたのに対し、ホワイトは先端部の剛性を高めたモデル。
「ワッグルの時点でパリッとしてる感じが伝わってきますね。ベンタスブラックもそうでしたが、元調子とは銘打っていますが先端部はもちろん、手元側のしっかり感も強いです。切り返しが速くても粘ってくれそうな感触がありますね」(堀口)
中村も「先端側のしっかり感がすごくあって、叩いても大丈夫そうな仕上がりですね」と評する。
「当たり負けしない先端部の剛性を持ち、使いこなすためにはある程度自分のスウィングでヘッドを加速させなければならないハードヒッター向けのシャフトです。テンセイホワイトはベンタスブラックとほぼ同様の特性を持っていると言って良いでしょうね」(中村)
どちらも大慣性モーメントヘッドと好相性
2人のプロのインプレッションを聞く限りでは、テンセイホワイトとベンタスブラックはかなり近い特徴、性能を持つシャフトと言えそう。「2モデルとも共通しているのはキックポイントが手元寄りにあり先端部は硬め、かつトルクが少ない点です」と中村。
「これらはいずれも最新の大慣性モーメントヘッドとの相性が良くなる要素ですね。ヘッドの性能に加えシャフトも当たり負けしない剛性を与えることでよりブレにくく、低スピンで打てるようにと工夫がなされた結果と言えます」(中村)
ハードなシャフトなぶん、求められるヘッドスピードも相応のものになるが使いこなせれば「インパクト時のブレが減るのでミスヒットの減少につながりますし、スピン量も高過ぎず低過ぎない、適度な低スピンで飛ばすことができるんです」と中村。「だからこそPGAツアープロたちに人気なんでしょうね」と堀口も推測する。
一方、2モデルは特性こそ非常に似通ってはいるが異なる点もあるという。
「ベンタスブラックのほうがシャフト全体の張り感があり、テンセイホワイトのほうが若干中間部のしなりが入りやすいですね。なので、打ち出しの高さではテンセイホワイトにわずかに分があるかもしれません」(中村)
とはいえ「打ち出しに分があると言っても、計測データ上でもわずかな差程度でしょう。どちらかと言えば『自分のスウィングに合う感触かどうか』という面が大きいです」と中村。わずかな差でも、それがPGAツアーの選手にとっては合う・合わないを決めるのだろう。
いずれにせよ、ベンタスブラックとテンセイホワイトに関しては「どちらのモデルも試打する際は普段選ぶフレックスより一つ下のモデルをまず打ってみることをオススメします」と中村がアドバイスするほどにハードなシャフトであることは覚えておこう。
※2021年2月24日16時45分 文章を一部修正いたしました。