弾道解析機「GCクアッド」やパットの解析機「キャプト」などを日本に導入し、ツアーではパッティングコーチとしても活躍するエンジョイゴルフの佐々木信也氏。
佐々木氏が、プロテストに合格したばかり、あるいは今年プロテスト合格を目指す若手選手を対象に、パットに特化した2日間の合宿「エンジョイゴルフパター合宿」を静ヒルズCCで開催すると聞き、取材した。
「パッティングのスタッツは平均パットやパット数だけでは見えてきません。どんな距離やラインが得意か、あるいは不得意かなど、パッティングスキルを数値化する必要があります。そのためにこの合宿では、『スノーマンドリル』でそこを見極めました」(佐々木)
スノーマンドリルとは、ひとつのカップに対し、「上り」「下り」「フック」「スライス」という4つのラインを設定したら、さらにそれを3分割し、ラインごとにカップから60センチ間隔で6個のマークを置いていく。
これは、時計の文字盤をイメージするとわかりやすい。カップを文字盤の中心に置き、12時の位置から打つのが下りのライン。反対の6時から打つのが上りのライン。そうすると、3時から打つのがフックライン、9時から打つのがスライスラインになる。
「一番遠いマークからスタートして入れば12点、入らなければ30センチ近づいて再トライします。そこで入れば11点、入らなければさらに30センチ近づいて再トライし、入るまで続けます。時計の文字盤を一周すると、ストレートな12時や6時周辺は点数が高く、左右の曲がりが入る3時や9時の周辺は点数が低くなります。その点数を折れ線グラフにすると、左右がくびれた雪だるまみたいな図形になることから『スノーマンドリル』と呼ばれています」
合宿に参加し定期的にこのドリルを継続して練習しているツアープレーヤーの東家賢政選手の話を聞いた。
「このドリルを繰り返しているうちに自分の得意なライン、苦手なラインが明確になってきます。そうするとラインの読み方や構え方、ストロークや道具という改善方法に移行することができるんです。同時に、ピンに対して乗せる位置をマネジメントすることでバーディの確率を上げることにもつながってきます」(東家)
画像Aは実際に東家選手が行ったスノーマンドリルの結果。同じ上りでも、6時から9時のスライスラ インに比べ、3時から6時のフックラインのほうが結果がいいことがわかる。ということは、グリーンを狙うショットやグリーンを外した際、「3時6時」を残すことを意識すればカップインの可能性は高くなる……という風にマネジメントにまで影響は及ぶ。
アマチュアゴルファーがスノーマンドリルを取り入れるとしたらどんな方法があるか聞いてみると、たとえばラウンド終了後、練習グリーンの利用が許されることが前提となるが、ボールマークを4つ使った簡易スノーマンドリルを教えてもらった。
「カップを中心に一歩の距離で真っすぐの下りのラインを12時、上りを6時、フックラインになる3時、スライスラインになる9時の文字盤をイメージしてマークを差します。この4方向とその間を加えた8方向からのパットでカップインを狙い、点数化し記録しておくといいですね。ショートパットから始めて少しずつ距離を伸ばしてみると自分のパッティングスキルの傾向を知ることができ、改善点を見出すことにつながりますから」(佐々木)
丸一日をかけて1%と2%と傾斜を変えてのスノーマンドリルを繰り返し、自身のパッティングの傾向を知った選手たちは、合宿2日目にはラインの読み方、ストロークなど具体的な改善点に取り組んでいくということだった。
プロのように丸一日かけるのは難しいが、パッティング向上させたい熱心なゴルファーは、ラウンド後に練習グリーンで手軽に試せる簡易スノーマンドリルを試してみてはいかがだろうか。