こんにちは、ケンジロウです。フロリダ州のオーランドからお届けしております。
そうです、アメリカに来ております。日本では緊急事態宣言が出ているさなか、アメリカのPGAツアーの取材に現地に来るのはなかなか勇気のいる決断でした。ただ、試合が行われていて、選手がプレーしている以上は、やはり「現地の情報、現地の写真を皆さんにお届けしないといけない」、その思いで日本から18時間かけてやってまいりました。
今週の試合はベイヒルクラブ&ロッジで行われるアーノルドパーマー招待です。PGAツアーの取材に来るのはちょうど1年ぶり。前回は1年前のWGCメキシコ選手権でしたからね。あのときすでにコロナの話は出ていましたが、まさかこのような長い展開になるなど思いもしませんでした。
今回は、コロナ禍でのPGAツアーの現場の運営や取材態勢など気づいたことを書こうと思います。
日々7000人近くの感染者が出ているというフロリダ州ですが、(それでも感染者数はだいぶ収まっています)、現地に来てみてびっくり。飲食店は当たり前のように開いていて、店の中で飲食している人も多くいます。私の泊っているホテルには、明らかに観光に来ている子供連れの家族もいます。すぐ横にディズニーワールドがあるので、おそらくそこが目当てなのだろうと思います。
「フロリダは感染対策が甘い」という話をこちらに来て何度も聞きました。アメリカでは感染症対策は州によってだいぶ温度差があるようです。レストランやスーパーも時短営業などせず通常通り開いていますし、みながマスクをしていること以外は、いたって日常のように感じました。
コロナ禍の試合では、選手やキャディ、コーチ、トレーナーなど、選手に関係する人たちは試合の週頭にPCR検査を受け、陰性の結果を受けてから会場に入ることができます。我々メディアや、クラブサポートのツアーレップなどはその限りではなく、PCR検査を受ける必要はありません。
プレスルームに入るのに、用意してきたPCRの陰性証明書などの提示の必要もありませんでした。事前に簡易テントで健康状態の問診があると聞いていましたが、そうしたやり取りもありませんでした。
もちろんコース内、プレスルーム内ではマスク着用、ソーシャルディスタンスなど感染症対策を徹底するようには指示されましたが……。
PCRを受けてない我々の取材はロープ外から、そして打撃練習場、パッティング練習場も入れず、選手に接触できるのはホールアウト後のミックスゾーンのみという状態。ほぼほぼ選手への接触はできません。
ベイヒルではギャラリーが入っているので、撮影はロープ内から行うことができました。今まではギャラリーもいなかったので、完全にロープ外から撮影していたようです。
選手はコース内ではマスクを外していて、キャディもほとんどの人はマスクを外しています。打撃練習場に入る人数も制限していて、基本的には選手とキャディともう一人(だいたいコーチ)という状況です。徹底的に密を避けているような印象があります。
コース内のマーシャルも感染症対策を徹底していて、マスクを外して水を飲んでいたら、すぐにマスクを着用しなさいと注意されました。
我々の取材態勢でいつもとレギュレーションが違うのは、まず練習日の月曜日にメディアがコースに入れないということ。取材は火曜日からになります。そしてプレスルームの中のデスクの数も制限していて、席を持たない記者もいます。実は私もその一人で、荷物を全部車に置いて、毎日の仕事の準備は車で済ませるという状態です。試合が終わって急ぎの写真などがあるときは、車からWi-Fiを使って送信しています。それでも限界があるので、基本的な仕事はホテルでするようにしています。不便ですが、こればかりは仕方ないですよね…。
メディアの登録者数も制限していて、取材申請をすれば許可が下りると言うものでもなく、ギリギリまで取材の許可が下りないケースもあります。なかなか予定が立てられず困ってしまいますが、やはりPGAツアー側は「人の数を制限している」という印象を受けました。
それでもフロリダシリーズなどは徐々にギャラリーが入るようになっていて、アーノルドパーマー招待も初日からギャラリーも入れています。試合会場にはオフィシャルショップもあってギャラリーは買い物もできるし、ビールやハンバーガーを売る店もあります。試合前の水曜日にはプロアマ戦もあって、だいぶ日常になってきたなという印象です。
日本の試合も女子ツアーが始まり、4月からは男子ツアーも始まる予定ですが、PGAツアーはすでに毎試合ギャラリーを入れ始めていて、コロナ禍の試合運営の一歩先をいっているような印象でした。やはりギャラリーがいてこそ選手もパフォーマンスが上がるもの。今後は感染者数を減らし、観戦者数を増やしていってほしいものですね。