自分に合っているのなら30年前のクラブだっていい
「ゴルフクラブを選ぶ上で14本すべてが同じ振り心地で振れる、クラブの流れが大事だとお客さんに話していますが、それと同じくらい大事なことがあります。それはアドレスしたときにできるだけスクェアに構えられるクラブを選ぶということです」
たとえばフックフェースのドライバー。アマチュアゴルファーに多い持ち球はスライスで、それはインパクトで軌道に対してフェースが開いていることで出る球。ならば最初からフェースを左に向けておこうという工夫だが、「必ずしもすべてのスライサーがこれが合うわけではない」と菅野氏。
「スライスする人でも、フックフェースに苦手意識を持っていれば上手くかみ合わないこともあります。まずはスクェアに構えられるクラブを選ぶのがオススメなんです」
スクェアに構えられるとは、すなわち構えたときに違和感を覚えない。安心感があるといったことを含む。そのようなクラブが、結局はナイスショットを生みやすいという考えだ。
ただ、構えた見た目は心地いいが、いざ打つとミスばっかり……では意味がない。そこで菅野氏は「ロフト角や重量などを微調整していくことが大切です」と話す。
「これはアイアンの話ですが、僕のお客さんで、ライ角をフラットにして、ロフト角を1度寝かせてあげた途端、芯に当たって飛距離が伸びたゴルファーもいました。ロフトの数字より、打ちやすい、扱いやすいほうが飛距離が伸びることもあるんです。つまり、同じクラブでも調整次第で自分に合ったクラブに変わるんです」
構えて心地よいクラブに調整を施すことで、球筋を整えてミスを抑えることができれば鬼に金棒。「それができれば、最新モデルじゃなくてもいい。30年前のクラブだって何の問題もありません」と菅野氏。
もちろん30年前のクラブと今のクラブでは性能は比べるべくもない。しかし、それ以上に「自分に合うか、合わないか」を基準にクラブは選ぶべき。考えてみれば当たり前の話だが、それこそがつい忘れがちなゴルフクラブ選びの最重要ポイントなのかもしれない。