2019年のプロテストに合格した山路晶選手は、250ヤードを越える飛距離で元気印が魅力のプレースタイルです。同じ年の畑岡奈紗選手と同じ「ヒルズゴルフ・トミーアカデミー」の出身で、一昨年の開幕戦では仲良く練習ラウンドをする姿も見られました。
2020年は4試合の出場にとどまりましたが、4戦目の「三菱電機レディス」では4位タイに入り、続けて2021年に向けた出場人数増枠予選会で8位に入り2021年シーズンの出場機会をつかみ取りました。
出場人数増枠予選会は、2020年と2021年のシーズンが一つのシーズンに統合され、QT(予選会)が開催されなかったことにより、出場資格を持たない選手に向け試合ごとの出場人数が10~20名程度増枠されたことを受け、その増枠分を争い開催されたもの。8位に入った山路選手は自らつかんだチャンスを生かし、開幕戦では初日を5アンダーの2位タイでスタートし最終的に15位タイでフィニッシュ、2戦目でも8位タイと着実に賞金を積み重ねているところから、飛距離だけでなくゴルフ力が上がって来たことが伺えます。
スタッツを見てみると、フェアウェイキープ率は高くないもののパーオン率が高く、ショット力の向上とスコアメイクがしっかりとできるようになり、ゴルフ力が上がっていることが想像できます。
【ダイキンオーキッドレディス】
フェアウェイキープ率60%
パーオン率63.8%
パット数28.25
【明治安田生命レディス】
フェアウェイキープ率45%
パーオン率77.7%
パット数30.67
飛距離が魅力のスウィングを見てみると、画像Aの左ではテークバックの早い段階で体が十分に捻転されていることがわかります。
この後トップに向かいますが、切り返しで体の動きは既にダウンスウィングへと移行しています。体が沈み込み、インパクトに向けてパワーを開放する準備段階へとタメができています。以前に比べて早い段階で体が十分に捻転されるようになったことで、この切り返しの前から切り返すまでの”間”の作り方が非常にスムーズになっています。そのことが切り返し以降の下半身と上半身の捻転差につながり飛距離の源になっています。
画像Bの左を見ると、上半身と下半身の捻転差の大きさに驚くとともに飛距離の源になるパワーをしっかりと体幹で作っていることが見て取れます。ドライバーでの飛距離とアイアンのショット力の源になっているのは、フェース面を感じる手の感覚と体幹を使ったスウィングがマッチしてきているからだと考えられます。
クラブが地面と平行になるハーフウェイダウンの位置でおヘソがターゲットを向き、肩のラインはターゲットと平行くらいのイメージ。この形を真似して、自分のスウィングと比べて見てください。下半身の回転量や上半身の開き、リリースのタイミングなど非常に参考になると思います。
2021年の女子ツアーは開幕したばかりですが、QTランクによる2020年の前半戦出場権を持つ選手と増枠予選会上位者による2度のリランキングが予定されています。第1回のリランキングまでにある程度の賞金を積み重ねておかないと出場順位が下がり、残された試合に出場できなくなってしまうという過酷なレースはもう始まっています。
山路選手は、上位進出を繰り返しながら初優勝のチャンスも大いにあると思いますので、今後も注目したいと思います。