ミスもあったが「ギリギリ、想定内」渋野日向子のプレーぶり
気温は20度を軽く超え、桜が満開。なんと途中セミが鳴いているホールまであり、ホールアウト後の会見では渋野日向子選手が「桜にセミなんて珍しいですね」と語っていた今日の宮崎。風も強くなく、暖かい日差しのなか、1000人のギャラリーを入れてのアクサレディス初日となりました。
私は前半は渋野日向子選手、後半は小祝さくら選手の組につき、プレーをウォッチしました。というわけで、まずは渋野選手です。
やはり、チェックしたかったのは2021年になってガラッと変わったニュースウィング。トップの位置がフラットでコンパクトになっています。いいショットもあれば、ミスショットもありましたが、ミスの幅はそこまで大きくありません。
ホールアウト後に「ミスの幅は想定内に収まっているように見えたが?」と質問すると、「ギリギリ、想定内です」との答え。実際、かなり変化しているのは間違いありませんが、生で見たスウィングに違和感はありませんでした。昨年末の全米女子オープン終了後からのわずか2カ月ほどで大きく“変えられた”わけですから、肉体的に無理のある動きではないのだと思います。
やや専門的な話になりますが、渋野選手は昨年よりもインサイドにテークバックをとっています。その分だけ本当はもう少しインサイドに振り抜きたいと言いますが、今はフォローサイドに意識を向けず、テークバックの動きを体に染み込ませている段階なのだそうです。
その完成途上のスウィングとしては、ミスもギリギリ想定内、パー5で2オンに成功するホールもあり、「振っても大丈夫なことがわかった」と、ひとつひとつ手応えをつかんでいるようでした。完成はまだまだ先かも知れませんが、そのなかでここ3戦予選落ちもなく、アンダーパーでもプレーできていますから、ゴルフ力はむしろ増しているように感じました。
新しいゴルフが完成に近づいたとき、どんなスケールのゴルファーになっているのか。引き続き、注目していこうと思います。
パットは本調子ではないが3戦2勝の小祝さくら
さて、後半は小祝さくら選手の組につきました。2021年に入って3戦2勝と実力的に頭ひとつ抜けた印象のある小祝選手。ホールアウト後に「後半はショットが荒れた」と振り返っていましたが、たしかにフェアウェイを外すホールがいくつかありました。
しかし、そのすべてが狙ったサイド。たとえば左サイドを狙って右サイドのラフに外すといったミスは1度もありません。ラフだとしても狙ったサイドなので想定内、というプレーです。また、ボールの行った先がフェアウェイでもラフでも、テンポもルーティンも常に一定に保たれています。
グリーンをショートしてもアプローチで当たり前のように寄せ、当たり前のようにパーパットを沈めて、次のホールへと向かっていく。「淡々とプレーする」という言葉がピッタリのプレーぶりです。
ただ、彼女自身にとってはショットはいいが、パッティングはまだまだ、という認識なのだそうです。決して絶好調というわけではない。それでこのプレーなんだから、やはりすごいなと感じました。
ちなみに、渋野選手、小祝選手はそろってトップの稲見萌寧選手と4打差の14位タイといい位置でホールアウトしています。
少ないチャンスをモノにできるか? 好発進の宮田成華に注目
さて、最後に注目選手をもう一人挙げておきたいと思います。それが宮田成華選手。出場優先順位を示すQTランキングは185位と、出られる試合が大幅に限られるなかで、初日は5アンダー2位タイと好発進を見せました。
5位以内に入れれば、次戦の出場資格を得ることができます。日曜日が荒れ模様の予報が出ていることから、スタートダッシュに成功したことは大きなアドバンテージ。少ないチャンスをモノにしたい、宮田選手の活躍にも注目したいと思います。