トップでシャフトの向きがターゲットよりも左を向くレイドオフ
松山英樹選手のマスターズ優勝、本当に感動しましたね。そして、中継を見てスウィングの変化に気づいた人も多かったのではないでしょうか。そこで2019年10月の「シュライナーズホスピタルforチルドレンオープン」と2021年3月の「アーノルドパーマー招待」で似たようなクラブとアングルの写真を探して比べてみました。画像Aの左は2021年3月で右が2019年10月の画像です。明らかにトップでのシャフトの向きはターゲットの左を向く度合いは多く、トップの位置も低くなっていますし、フェースの向きも右の2019年10月はややオープンですが左はスクェアになっています。
シャフトの向きとトップの位置の違いがダウンスウィングに表れています。左右を比べるとシャフトの傾きの違いが見て取れます。左(2021年3月)は右(2019年10月)に比べてシャフトがフラットになっているため浅い軌道でボールに向かっています。
松山選手のスウィングはアップライトでフェースの開閉が多いところに特徴がありましたが、ややフラットでフェースの開閉も少なくしていることがふたつの画像から確認できます。
その効果はというと、どちらもメリットデメリットは持ち合わせていると思います。アップライトであればボールにスピンをかけやすく、フェースの開閉が多ければ多彩な弾道を打ち分けられるメリットもある反面、タイミングがズレると打点のズレや弾道のコントロールが難しくなることがデメリット。
一方のフラットで浅い入射角のメリットは打点が安定しスピン量や距離感が一定になりやすい点。デメリットとしては極度にフラットなプレーンになるとボールが上がりにくくなったり、インサイドアウト軌道が強くなり弾道の打ち分けが難しくなること。
しかし、松山選手の場合は、ガラッと変えるのではなく、その変化は「適度」というべきもの。それにより、弾道を安定させるというメリットが強く表れたのではないでしょうか。
では、トップにクラブがたどり着く前、バックスウィングはどう変化しているのでしょうか。ふたつの画像を見比べてみるとヘッドの位置に大きな違いが見えます。
左の2021年3月ではシャフトは右前腕の角度と重なりシャフトの角度は肩のラインと平行ですが、右の2019年10月ではヘッドは胸の前にあり縦方向に上がるように動いています。右ひじも体から離れているので、手元の位置も体に対してわずかですが外側にあるようです。
アマチュアの方がこの動きを真似するとしたら、フラットなトップを意識するあまり手元をインサイドに引きすぎないように注意しましょう。始動から手元を体の正面にキープしたまま体を回し、シャフトの向きが後ろから見て右の前腕と重なるように鏡やスマホなどで確認するといいでしょう。
もうひとつ、右肩に力が入ってしまうとフラットに上げられません。インサイドに引こうとして左肩が上がるのもNGです。肩が上がらないように下げた状態で体を回すことで、わきの締まった腕に力みのないテークバックが取れるようになります。
短い期間ではありますが、チーム松山に加わった目澤秀憲コーチとの相乗効果でスウィングに磨きをかけ、マスターズ制覇という快挙を成し遂げた松山選手ですが、まだまだ進化の過程だと思います。これから先の活躍がますます楽しみになりましたね。