鶴岡果恋選手は、小さい頃から一緒に練習した1学年上の原英莉花選手を追いかけて入学した湘南学園高校卒業後にプロテストに一発合格した21歳。20年はQTランク42位の資格で7試合に出場するも予選通過は2試合。しかし、増枠予選会を4位で通過し出場資格を上げて臨んだ2021年は、好調なプレーぶりが目立ちます。
「明治安田生命レディス」で12位タイ、「Tポイントレディス」で11位タイと賞金を積み重ねます。そして「ヤマハレディースオープン葛城」で4位タイに入り「サロンパスカップ」後に行われ、その後のツアー出場優先度を決める第一回リランキングの暫定順位を21位へと大きく上げることになりました。コーチを務める重田栄作プロと作り上げてきたショットメーカーのスウィングを見てみましょう。
まずアドレスを見ると、左手の甲が少し空を向くストロンググリップで握り、バランスの取れた姿勢で構えています(画像A左)。テークバックでは手元を低い位置に保ち、体と同調させながら上げていきます(画像左)。この体と手元の距離をキープした丁寧な始動が再現性の高いスウィングにつながります。
バックスウィングでは、早い段階で上半身が深くねじられています。そして、クラブがまだトップの位置におさまる手前の位置(画像B左)で下半身はダウンスウィングへと切り返しています(画像B右)。そのことにより上半身と下半身の捻転差が生まれ、手先の力ではない体幹を使った飛ばしのエネルギーを使えるようになっています。
ダウンスウィングを見ていきましょう。画像Cの左では下半身が上半身に先行していることで、上下の捻転差はさらに大きくなっていますます。同じタイミングで手元の位置に注目すると、始動の際の手元と体の距離がそのまま保たれていることがわかります。このことが、入射角の浅い、安定したインパクトへとつながります。
トップでフェースは空を向いており、フェースの使い方はややシャット。フェースの開閉はスウィングを通して少なく、方向性にメリットのある動きです。
ジャンボ軍団の一員・金子柱憲プロのキャディを務めていた重田栄作プロに話を聞くと、オフの間にはしっかりと練習を積み、ショット力に磨きをかけてきたといいます。そしてツアーのセッティングと試合に慣れていきながらゲームの流れに乗っていけるかどうかがポイントだと話します。
「金子プロや尾崎直道プロのゲーム運びは、ここで決めておくと流れに乗っていける、流れを切らさずに次に行けるというアプローチやパットは必ず決めていました。現状ではそのあたりのショートゲームが課題で試合でもテーマを決めて取り組んでいます」(重田)
「アクサレディスゴルフトーナメント」の会場でスウィングと弾道を見ましたが、再現性の高い安定したスウィングでターゲットに向けて糸を引くような弾道を打っていました。近い将来憧れの先輩、原英莉花選手と上位で争う姿も見られることでしょう。