今年に入りすでに3勝を挙げている稲見萌寧。そして男子ツアー開幕戦で見事に勝利した金谷拓実。2選手に共通しているのはドライバーのシャフトがUSTマミヤの「ジ・アッタス」である点。最新モデルというわけでもないこのシャフトは一体なにがいいのか?専門家に話を聞いた。

ジ・アッタスは2018年発売のシリーズ10作目

「ジ・アッタス」といえば2018年に発売されたアッタスシリーズ10代目のモデル。プロは必ずしも最新シャフトを使うわけではないが、3年前のモデルを使う理由はどこにあるのか。

クラブフィッターでスウィングコーチでもある関浩太郎はこのシャフトを「歴史に残る名器だと思う」とこのように解説する。

「完成度が高く、非常にバランスのとれたシャフトだと僕は思います。アッタスシリーズは総じてボールへの当てやすさのあるシャフトですが、ジ・アッタスは当てやすさを活かしたまま弾きが強い印象ですね。スタンダードなスウィングを邪魔しないで、アクセルを踏んだだけ応えてくれるシャフトです」(関浩太郎)

さて、そのジ・アッタス。金谷はピンの「G410プラス」に合わせて「6X」を、稲見はキャロウェイの「マーベリックサブゼロ」と合わせて「5S」を使っているが、女子プロのクラブ事情に精通する兵庫県のゴルフ工房「ピジョンゴルフ」のクラフトマン・羽藤嘉人は「重量帯によって特性が変わってくる」という。

「以前金谷選手が使っていたジ・アッタスの7Sはどの部分が硬い、どの部分が柔らかいというのがなく、クセのないシャフトでした。優勝した東建からは6Xに変更していますが、6Xは稲見選手が使う5Sと同じで先が走るタイプのシャフトという印象です」(羽藤嘉人)

画像: ジ・アッタスを使用する稲見萌寧と金谷拓実(写真左は2021年のバンテリンレディス撮影/岡沢裕行、写真右は2021年の東建ホームメイトカップ撮影/有原裕晶)

ジ・アッタスを使用する稲見萌寧と金谷拓実(写真左は2021年のバンテリンレディス撮影/岡沢裕行、写真右は2021年の東建ホームメイトカップ撮影/有原裕晶)

羽藤が指摘するように、金谷はプロ2勝目を挙げた「東建ホームメイトカップ」から同じジ・アッタスの7Sから6Xへとスイッチしている。その理由をUSTマミヤのツアー担当・石川峻氏はこう話す。

「本人から東建で優勝したあとに電話で『(6Xにして)中弾道で強い球になりました』と報告がありました。トレーニングで体も大きくなって、振り感も鋭くなってきたことによって『X』のほうがパワーに耐えられると判断したんだと思います。重量帯が『7』じゃなく『6』だったのは、連戦していくなかでパフォーマンスを落とさないようにするための決断ではないでしょうか」(石川)

実際にテストした現場に立ち会った金谷が契約するピンのツアー担当・穂積真嗣氏はその様子をこのように振り返える。

「1月の海外遠征を終えてテストしたタイミングで本人から『7Sだと動きに物足りなさを感じる』とフィードバックがありました。そこで7Xと6Xをテストして、振りやすかった6Xを開幕で採用したんです。数値的に大きな変化はありませんが、6Xにしたことでタイミングが合い、方向性のブレがより少なくなったと思いますね」(穂積真嗣)

2021年に入って稲見が3勝、金谷1勝と結果にコミットしているジ・アッタス。最新モデルではないけれど、注目のシャフトと言えそうだ。

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