国内男子ツアー「関西オープンゴルフ選手権」を制した星野陸也。世界を見据えて進化させたというそのスウィングを、プロゴルファー・中村修が解説。

国内男子ツアー「関西オープンゴルフ選手権」はトータル2アンダーで星野陸也選手が優勝しました。舞台となった「有馬ロイヤルゴルフクラブ ロイヤルコース」は風も強くグリーンも硬く速い難易度の高い仕上がり。単純な飛距離だけではなく総合力も求められる中で、やはり大きな武器となったのはドライバーショットでしょう。

画像: 国内男子ツアー「関西オープンゴルフ選手権」を制した星野陸也(撮影/岡沢裕行)

国内男子ツアー「関西オープンゴルフ選手権」を制した星野陸也(撮影/岡沢裕行)

星野選手は、ドローやフェード、さらに高低も操りながらコースを攻略しました。今大会ではオフの間のスウィング改造が功を奏し、さらにブラッシュアップされた印象でした。

まず優勝会見で星野選手自身も語っていたスウィングの変更点として大きな部分が、体重配分。今まで星野選手は左足8:右足2の極端な左足体重だったそうなんですが、オフの間にこれを見直し。いろんなパターンを模索し、現在は7:3の体重配分でスウィングしているとのこと。

とくにダウンスウィングに注目して見ると、左に突っ込み過ぎず、かといって右に体重が残っているわけでもなく、背骨の軸をブレずに保ったまま、それを中心にクルッと回転できています。もし背骨の軸がズレてしまえばクラブ軌道にも当然影響を受けてしまいますが、体重配分の変更によって“飛ばしの動きがクラブ軌道を邪魔しない”、非常にスムーズなスウィングになっている印象ですね。

画像: 体重配分の変化によって、背骨の軸を中心としてスムーズに回転していくスウィングに(写真は2021年の東建ホームメイトカップ 撮影/有原裕晶)

体重配分の変化によって、背骨の軸を中心としてスムーズに回転していくスウィングに(写真は2021年の東建ホームメイトカップ 撮影/有原裕晶)

スムーズに振り抜けることで、思い切り左足へ体重を乗せていく以前の打ち方よりも腕に余計な力が入りづらく、今大会でもプレッシャーがかかる場面でもサラッと振り抜けていました。

星野選手の語るところによれば、昨年10月に開催されたPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」で見た、海外選手たちのスウィングの「ボールがあると思って打っていなくて、スウィングの中にボールがある感じ」を参考にしたそうです。レッスン記事などでもインパクトはスウィングの通過点などとよく言われますが、まさにこの感覚ですね。

これによって、今までは「手にグッと力が入ってしまうことがあった(スウィングだった)」とのことですが「振っていて4日間ラクになり、距離も自然と伸びた」そうです。

もう一点、アマチュアの方の参考になりそうなのがテークバック。上半身の捻転に合わせて顔の向きも大きく右側へ向けている点が特徴的ですね。スウィングのセオリーとして頭を動かさない、といった教えもありますが、星野選手の場合はそれにとらわれない動きを取り入れることで、スムーズに深くテークバックをすることができています。

画像: 頭を残さず上半身の動きに合わせて右に向けることで、スムーズに深いテークバックが取れている(写真は2021年の東建ホームメイトカップ 撮影/有原裕晶)

頭を残さず上半身の動きに合わせて右に向けることで、スムーズに深いテークバックが取れている(写真は2021年の東建ホームメイトカップ 撮影/有原裕晶)

もちろん、それによって体全体が右側に流れてしまわず、上半身の回転に対して右ひざがスウェーせずにアドレス時とほぼ変わらない位置をキープしていることで、下半身から背中にかけての筋肉の伸縮を飛ばしのエネルギーとして活用できる体勢が整っています。星野選手のように右ひざが流れないよう耐える動きは必要ですが、「頭を動かさない」は絶対ではないということは覚えておいてほしいことですね。

優勝後の会見では「オフに取り組んできたことが(開幕戦の)東建ホームメイトカップでは間に合わなかったが(関西オープンでは)兆しが見えた」と語った星野選手。スウィング改造による成果が優勝という目に見えた形で現れましたから、今後の試合でもどんどん上位に顔を出してくると思います。

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