本日から開催中の国内女子ツアー「パナソニックオープンレディース」。その練習日に女子プロが行っていた練習法が興味深かったのでご紹介したいと思います。
写真A左が福山恵梨選手、右が山路晶選手が行っていた練習です。両ひざの間にボールを挟んでのスウィング練習をする福山選手と、両ひざの少し上あたりにわっか状のゴムを巻き付けて練習を行っていた山路選手。
どちらも下半身に働きかけるタイプの、レッスン記事などでよく見かけるメジャーな練習法なのですが、その効果はまったく異なるんです。
福山選手のボールを挟み込む練習法で身に付くのは、太い1本の軸を中心としてスウィングする感覚です。まずボールを両ひざの間に挟み込んでいることで、始動の段階で左ひざが大きく体の右サイドへ動くことがなくなります。すると体が右に動き過ぎず、スウィング中に体の軸がブレにくくなりますし、上半身と下半身の捻転差も非常に作りやすいです。
また、ダウンスウィングで右のひざが前に出たり、体が左方向へ水平移動する動きも抑制できます。しっかり体を回すことはできつつそれ以外の余計な動きを防ぐことができる、下半身の安定感がなく体の軸がブレてしまいがちな方にオススメの練習法ですね。
福山プロが体の軸を重視した練習法なのに対して、山路プロがやっていたのは飛ばしのエネルギーをしっかり生み出すためのドリルです。
福山プロの練習法はボールを挟む=両ひざを内側へ向ける動きがあったのに対し、山路プロの練習法は両ひざの少し上の辺りにゴムを巻き付けつつ、そのゴムがずり落ちてこないようキープしながらスウィングする練習。ある程度締め付け感のあるであろうゴムによって両ひざがくっつきやすくなる状態が作られているので、逆に両ひざがくっつきすぎないように、両ひざを外側へ向ける意識が必要となってくるんです。
このゴムの締め付けにあらがう動きを取ることでに、まずテークバックで左ひざが体の右サイドに寄り過ぎてしまうことを防げます。また、左ひざがしっかり体の左サイドに残っていることで、左足の裏側から背中側にかけての筋肉が伸び、下半身の力を活かしたダウンスウィングをするための緩まないテークバックを作ることができます。
この動きによって伸ばされた筋肉が、ダウンスウィングに入る段階で一気に縮み、飛ばしのエネルギーを作る筋肉の伸張反射の動きが生まれるわけですが、ゴムによる締め付けによって、その動きもよりイメージしやすくなります。今イチ飛距離が出ないなという方には一度試してもらいたいドリルですね。
ボールによって左ひざが内側へ入り過ぎない状態を作り、体の軸を保つ感覚を養う福山選手のドリルと、ゴムの締め付けによって左ひざを残す意識を持たせ、飛距離につながる緩まないテークバックを作る山路選手のドリル。似た形の下半身の動きを抑制するドリルでそれぞれ効果も異なりますが、共通しているのは「テークバックで左ひざが右に動き過ぎない」形を意図的に作り出しているという点です。
自分のスウィングをスマホなどで正面から撮影してみて、もし左ひざが体の右サイドへ動き過ぎているならば、どちらのドリルも一度試す価値は十分にあると思いますよ。