復帰をアナウンスした数日後にはUSGA(全米ゴルフ協会)が6月第1週に行われるメジャー、全米女子オープンにクリーマーを特別招待すると発表。サンフランシスコ郊外のオリンピックCで開催されるがじつはこのコース、クリーマーが生まれ育った家(現在はフロリダ在住)から車で40分と地元中の地元。
「1998年にオリンピックCで男子の全米オープンが行われたとき父と一緒に観戦に行ってものすごく感動したのを覚えています」と復帰が決まったあとのモバイルインタビューで語ったクリーマー。
全米女子オープン(2010年)を含めツアー通算10勝を挙げているが2017年以降は左手首のケガで思うようなプレーができず予選落ちが続いていた。1歳年下の宮里藍の引退試合である2017年の「エビアン選手権」ではプレーイングパートーナーに指名されながらケガの状態が悪化し初日だけで途中棄権。それでも最終日まで宮里の最後の勇姿を見守りホールアウト後には「せっかくアイに選んでもらったのに最後までプレーできなくてごめんなさい」と主役以上に大泣きしていた。
職業病ともいえる左手痛との戦いが限界に達した2017年に手術を受けたが完治には至らず、2019年に再び手術。当初はもう少し早い復帰を考えていたが医師団から「コロナ禍でゴルフをすることはない」というアドバイスを受け8カ月近くクラブに触ることすらなかった。
「2、3週間なら触らないことはあったけれど半年以上クラブを持たなかったのは初めて。でもブランクを経て練習を再開したら思った以上のショットが打てたんです。クラブを握る感触がすごく新鮮で心地よかった」
全米女子オープンに勝ったころにはすでに左手痛に悩まされており、以降長い間ケガと付き合いながらの戦いを強いられてきた。しかし最近は10年ぶりに痛みなくクラブを振れるようになった。しばらく袂を分かっていた元コーチ、デビッド・ウェイラム氏とも再びタッグを組み戦える準備は整った。
華やかなキャリアの裏でケガや離婚といった苦難を乗り越えたクリーマー。ティーンエージャーのころから若手の代表格としてツアーを席巻してきたが34歳になったいまは逆に若手の前に立ちはだかるベテランだ。果たしてどんなゴルフを見せてくれるか注目だ。