「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」の最終日、高橋彩華、大里桃子、西村優菜の3名の最終組の優勝争いを制したのは、2000年生まれの西村優菜20歳。プロゴルファー・中村修が混戦となった最終日の模様を現地からレポート。

好調な3名の最終組から抜け出した西村優菜

2021年国内メジャー初戦の最終組は、何度も優勝争いに加わりながら、なかなか優勝に手が届かない高橋彩華選手、先週上田桃子選手とのプレーオフで惜敗した大里桃子選手、そして先週も最終日最終組でプレーし10位タイで終えた西村優菜選手の3名です。

初優勝を手にしたい高橋選手が2位に3打差の12アンダーでスタートします。距離のある前半をパープレーで終えた高橋選手に対して、大里選手は3バーディノーボギーで追いつき、西村選手は2アンダーでプレーし1打差でターン。混戦模様のサンデーバックナインを迎えます。

画像: 「ワールドレディスサロンパスカップ」でメジャー初優勝を挙げた西村優菜(写真は2021年の「ワールドレディスサロンパスカップ」 写真/岡沢裕行)

「ワールドレディスサロンパスカップ」でメジャー初優勝を挙げた西村優菜(写真は2021年の「ワールドレディスサロンパスカップ」 写真/岡沢裕行)

勝負が動いたのは12番ホール(400ヤード、パー4)。11番でチャンスにつけるも決めきれなかった高橋選手が左のラフからのショットを寄せきれず、パットも外しダブルボギーで後退。一方、西村選手は2打目190ヤードを7Wで打ち1.5メートルにつけバーディとし、大里選手と首位タイに並びます。

このホールの攻め方は、左奥のピンに対して風は右から。西村選手は持ち球のドローでグリーンセンターから攻めましたが、優勝会見では攻め方が見事にハマったと述べました。

西村選手の初優勝は昨年10月の「三菱電機レディス」。その試合も現地で取材していましたが、今大会同様に飛距離のあるプレーヤーが有利なはずの硬く速いグリーンに対して、キャリーとランをしっかりと把握してピンに寄せる距離感が抜群でした。

結局、13番、17番でもバーディを重ねて勝負あり。メジャー初優勝を手にしました。自身のプレースタイルをよく理解していて、攻める守るのマネジメントが上手く、プレーのリズムが崩れない。チャンスが来たときに勝ち切れる選手だと感じました。

クラブのセッティングも1W、3W、5W、7W、9W、6UTとウッド類が6本なのに対し、ウェッジはPW、50度、58度の3本と“上が厚い”構成。長い距離を打つクラブを10ヤード刻みでセッティングしていることを見ても、自分のプレースタイルを熟知し、それを生かせるスマートさも持ち合わせていることが見て取れます。

勝利の要因となったのは、プレースタイルを熟知したマネジメントに続いてオフに重点的に練習したというアプローチにもありました。2番パー3では左に切られたピンに対して左のラフに外し、難しいアプローチが残りましたが、上手くクッションを使って寄せパーで切り抜けていました。アプローチに関して、会見ではこう語っています。

画像: オフに徹底的に量をこなしたアプローチとパッティング(写真は2021年のワールドレディスサロンパスカップ)

オフに徹底的に量をこなしたアプローチとパッティング(写真は2021年のワールドレディスサロンパスカップ)

「アプローチとパッティングに関してはすごく成長を感じられた 4 日間で(中略)オフの機会にアプローチ、パター、ショートゲームを力を入れて練習してきて今週はチップインが 3 回あったんですけどグリーン周りからバーディを狙えるというシーンが凄く多くて、そういった部分が凄く成長したと感じました」

画像: ショット力を生かすクラブセッティングとマネジメントで4日間60台をマークした(写真は2021年のワールドレディスサロンパスカップ)

ショット力を生かすクラブセッティングとマネジメントで4日間60台をマークした(写真は2021年のワールドレディスサロンパスカップ)

そして最後の要因はメンタル面です。スタート前から距離のある前半は耐え、後半に攻めて行こうと決めていたといいますが、その通りに後半3つのバーディを奪っています。

距離と風、ピン位置から落とし場所とクラブを決め、素振りから打つまでのテンポが緊張した中でも変わりません。緊張する場面ではどうしてもテンポが遅くなりがちですが、好調な稲見萌寧、小祝さくら選手らにも共通するのは、プレーのリズムが変わらないところです。プレッシャーへの対処法のひとつとして、同じテンポでプレーすることの大切さを改めて感じさせるプレーぶりでした。会見では尊敬するチョン・インジのプレーを参考にしていると話しました。

惜しくも敗れた大里選手は15番パー5でボギーにしたところで流れが悪くなったことを敗因に挙げていました。また、惜しくも途中で脱落した高橋選手は上がり2ホールを連続バーディとし単独5位で終えました。この二人の優勝シーンを見られるのもそう遠くないのではないでしょうか。

一昨年、渋野日向子選手はこの試合で初優勝を挙げ、その後の大活躍へとつなげていきました。そんな試合で2021年に20歳の西村優菜選手が見せてくれたのは、飛距離だけではない、自分の持ち味を活かしてコースを攻略するゴルフの面白さでした。

次週「ほけんの窓口レディース」では、選手たちがどんな戦いを見せてくれるのか、楽しみは続きます。

画像: 平均飛距離がアップ!トニー・フィナウのスウィングをじっくり観察して自分のスウィングに取り入れよう youtu.be

平均飛距離がアップ!トニー・フィナウのスウィングをじっくり観察して自分のスウィングに取り入れよう

youtu.be

This article is a sponsored article by
''.