マキロイがバッグに加えたのはテーラーメイドの「SIM」の15度の3番ウッド。マスターズでは「SIM2」の3番ウッドのロフトを立てて使っていたようだが、それとチェンジしている。
1年半勝利から遠ざかっていたマキロイだが、その原因のひとつがドライバーだ。引っかけのミスを防ぐため、フェードのイメージで振っていたところ、左にも右にもミスが出る状態に。
しかし、新しくSIMの3番ウッドを入れたことで、ドライバーはフェード、15度はドローと役割が明確になったという。そのことが、復活優勝のきっかけのひとつになったのだ。
このセッティングはアマチュアにも参考になる。たとえば、セッティングのなかで「確実に持ち球が出る」クラブを入れておくことで、コースマネジメントは格段にラクになる。プロゴルファー・中村修は言う。
「プロや上級者のようにこの場面はフェード、違う場面ではドローと打ち分けるのは簡単ではありません。しかし、持ち球に合わせた得意クラブをセッティングしておくことは大きな武器となります。とくに立ちにくいドッグレッグホール、フェアウェイの幅の狭いホールなどで、小細工せずにフェアウェイをとらえられると、スコアアップには相当役に立ちます」(中村)
マキロイのようにフェアウェイウッドでも、あるいはユーティリティでもいいが、スライサーなら確実にフェードが打てる。フッカーなら絶対に右へのミスはないクラブ、つまり“逆球”が出ないクラブがあると頼りになるのだ。
マキロイならば300ヤード先で微妙にドローとフェードを打ち分ける必要があるが、アマチュアならばフェードならフェード、ドローならドローの“一方通行”で十分。「そういうクラブがあると、メンタルのスタミナも消費量を抑えることができ、セカンドやサードショット、ピンを狙うショットに集中することができるはずです」(中村)と、頼れる相棒の存在はメンタル面にも好影響を及ぼす。
ドライバーの不調に悩んでいたというマキロイだが、ティショットのスコアへの貢献度はここ数年一貫してツアートップクラス。そんなマキロイでも「右にも左にもミスが出る」と悩むのだから、ゴルフは難しい。ましてやアマチュアをや。「確実に右」「確実に左」というクラブをバッグに入れてみると、久方ぶりの優勝を手にしたマキロイの気分が味わえるかも。